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迷い猫の探し方

はじめまして。
日経ピーアールで営業の責任者をしておりますKと申します。
いつもnoteをご覧いただきありがとうございます。
私事で恐縮ですが、50歳の頃に娘が野良猫を拾ってきてから、すっかり猫の魅力にハマり、現在、4匹の愛猫と1匹の愚犬に囲まれて生活をしています。
今回ご紹介するのは、猫が失踪した際の探し方を経験に沿ってお話ししたいと思います。

消えたトラ猫の9

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5年前の4月、当時2匹の猫を飼っていましたが、トラ猫の「9」が家人の目盗んで脱走しました。夜になって9の姿が見えないことで事態は発覚し、家中を探したのですが姿はなく、近所を探しても発見できませんでした。
運の悪いことに失踪翌日に娘の結婚式があり捜査することができず、本格的に探し始めたのは失踪から2日後でした。
定説によると「逃げたばかりの猫は半径50メートル以内に隠れている」と言われていますが、改めて探してみると車の下や塀の影、家と家の隙間など、捜索活動はままなりませんでした。

猫探偵登場

失踪4日後、ネットで猫探偵を知り依頼しました。60歳くらいの元自衛官の猫探偵S氏は、原付バイクに様々な道具を積んでやってきました。2時間程度の取材で猫の特徴や失踪時の状況、ビラの制作のアドバイスなどの後、ボイスレコーダーに「9ちゃーん」と呼ぶ私の声を録音し、猫探偵は首から下げた小さなスピーカーからその音声を流しながら、20時から朝の5時までキックボードに乗り4日間近所を捜査しました。
今から思えば4日連続で深夜~早朝に自分の声が近所に拡散されていたことは赤面ものですが、当時はとにかく藁をも掴む思いでした。

ビラができると猫探偵が「迷い猫を探しています」のビラを近所の電柱に張りました。我が家の前の電柱に貼ってあり、ビラを見た人がスマホで撮影してくれたのを見たときに、もしかしたらこれで有力な情報が来るのではと期待しましたが、核心に近い情報はなく「公害だからすぐはがせ」というクレーム電話が数本あり心が折れそうでした。

結局猫探偵の契約期間には発見できず、その後は帰宅後と早朝に自分で探す事を決心しました。
深夜と早朝の約6時間、毎日近所を歩き回り、その日に会った野良猫の種類と時間を町内地図に記入して整理しました。私の住んでいる地区はなぜか野良猫が多く、マーキングした猫の数だけで30匹を超えましたが、徐々に猫のテリトリーが分かりはじました。

クレームの電話もありましたが、沢山の感謝もありました。いつも荷物を届けてくれるヤマト運輸のおばさんが「Kさんが探してる猫、捕まえたよ」とやってきました。クロネコヤマトの荷台からおろされた猫は9と同じトラ猫ですが、既にマーキング済の別の猫だったり、ゴールデンウィークに「どうせ彼女いなくて暇ですから」と近所の大学生4人が一緒に探してくれたり、皆さんの優しさがうれしかったです。

折込広告とポスティング

失踪から25日後、町内地図に相当の情報が溜まったにも関わらず、核心に近づけないため捜査を広域捜査に変更しました。
失踪場所から半径500メートル(ただし大通りは、猫が渡る可能性が低いのでその内側)のすべての世帯にポスティングと対象エリアの日経を含む主要3紙の折込広告を依頼しました。

折込広告は近所の新聞販売店に直接ビラを持ち込み、ポスティングは仕事で付き合いのあるポスティング会社にお願いしました。
ポスティング会社の社長に「逃げたインコが見つかった例もあるから期待してください」と言われ3,000件のポスティング、4,000部の折込広告、それからFBの掲示板に拡散希望の書き込みを行いました。

寄せられた情報

効果はすぐに表れました。「似た猫を見た」という電話やメールが一気に20件以上寄せられました。その中の1件のメールに「最近、庭にご飯をもらいに来る猫に似ています」と写真付きのメールが小学5年生の女の子から送られてきました。その写真はだいぶ痩せていましたが間違いなく9の姿でした。連絡をくれたお宅は我が家から300メートル以上離れた場所で、今まで探したことのない場所でした。
すぐに捕獲器を持って伺い、庭と向かいの家のガレージにも協力をいただき3台の捕獲器を設置しました。

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≪ 実際に送られてきた写真 ≫

30日ぶりの再会

捕獲器設置から3時間後、様子を見に行くと 1台の捕獲器の扉が閉まっていて、中に30日ぶりに会う9の姿がありました。
力石徹ばりに痩せて、自慢のテノールボイスは八代亜紀のようなハスキーボイスになっていましたが、大きなケガもなく元気でした。
捕獲器に入れたまま家に連れて帰り、餌や水を与えようとしても、すっかり野生化した9はシャーシャーと威嚇し興奮状態でしたが、「猫の麻薬」と言われるチュールを与えたらガツガツと食べ、徐々に落ち着いてきました。
その後、もう1匹の猫の「空(くう)」と対面すると初めて自分の状況を理解したのか、猫同士すぐに元の関係に戻りました。

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≪ 捕獲直後の様子 ≫

翌日、電柱に張られたビラを全て撤去し、すっかり顔なじみになった30匹以上の野良猫にお礼のおやつを振舞いました。その後、動物病院で健康診断を受けましたが異常はなく獣医の話では、一カ月間の外生活をした割には汚れていないので、どこか安全な場所にじっと隠れていたのでは、との事でした。

後から聞いた話ですが、猫探偵がすごい数のビラを張ってくれたおかげで、9ちゃんは近所の小学校ではかなり認知度が高かったらしく、我が家に連絡をくれた女の子は学校で「9ちゃんを見つけた子」とヒーローになったそうです。

騒動の決算

失踪中の30日、必死というか執念に近い感情で探したことを今でも覚えていますし、同じ事をもう一度やれと言われても、たぶん無理だと思います。
迷い猫を探すコツは「見つかるまで諦めない事」に尽きます。
ただ、やみくもに探すのではなく、自分の探した場所や行動を客観的に分析してデータ化することが大切だと思います。そしてエリアを絞った不特定多数の人に対してリーチできるポスティングや折込広告は、迷い猫を探す有効な手段であることが分かりました。

今から思えば、折込広告を扱っている会社に勤めていながら、猫探偵ではなく最初にポスティングや折込広告が頭に浮かばなかったのが不思議なのですが、猫がいなくなった動揺が強すぎたことと、あまりにもエリアが小さいので普段の業務と結びつかなかったのかもしれません。

広告の元祖は瓦版と言われます。小さなコミュニティ、小さな商圏を見つめなおす機会でもありました。

今回の騒動の決算:
① ビラ簡易印刷(ポスティング、折込追加含む)…約80,000円
② 猫探偵S氏4日間…78,000円
③ ハイスペック懐中電灯3本…6,000円
④ ポスティング配布料…20,000円
⑤ 折込広告配布料…13,000円
⑥ 捕獲器3台…36,000円
⑦ 小学生へのお礼品…10,000円
⑧ 履き潰してしまったNew Balance…26,000円
⑨ 私の体重…マイナス4㌔
猫との生活…プライスレス!

以上 Kがお伝えしました。

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≪ 戻ってきた日常 ≫

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