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西陽ってなんか寂しくない?

西陽ってなんか寂しくない?と私が高校2年生の時に、部活の仲間に問いかけた。みんなは「感傷てきやな~」と言って笑っていた。

私は高校三年間、もっと言えば小学校からの11年間バスケをしてきた。といってもそんなに上手いわけじゃない。ただみんなと部活の後に一緒に帰ることが好きだった。

高校に入ってからは中学の時よりも部活に真剣に取り組んだ。そのため今まで部活の仲間と喧嘩したことなんてなかったのに、プレイのことや考え方の違いで何回も衝突しあった。それなのに、今では高校の時の仲間の方が仲がいい。雨降って地固まったわけだ。

部活の仲間とは学校生活でも一緒だった。私の高校生活は部活の仲間なしでは語れない。誕生日会は盛大に廊下で歌ったし、宿題を教えてもらったり、ユニバに行ったり、本当にたくさんの思い出がある。

みんなからみたら私は「ツンデレ」らしい。そんなことは自分では思ったことはない、ただ素直になれないだけだ。

私の学校は坂のと途中にあり、坂を下って下校する。学校は北にあり、坂を下り東に進む。必然的に西陽を背にして歩く。もちろん部活の9人の仲間たちと一緒に帰る。その中でも馬鹿な話や、学校であった話、悩み事、最近はまっているマンガの話とかを話しているうちに、あっという間に分岐点が来る。半分に分かれる。そのときになぜか西を毎回向いてしまう。下校時間は夏で19時00分くらいだろう。

いつも通り帰っているとふっと思い出して、「西陽ってなんか寂しくない?」と口に出した。

みんなそれを聞いて笑っていた。私も「まあいいか」と思い違う話をした。

高校3年生の総体が終わって、みんなと一緒に帰ることが少なくなった。

秋にはもう一人で帰ることが当たり前になっていた。友達が他にいないわけじゃなく、たまに違う子たちとは一緒に帰る。私は一応受験生だから早く帰ろうと思っていたのだ。部活がなくなって下校時間は15時30分。

12月頃だっただろうか、たまたま先生に用事があったから学校に残っていた。用事を終え一人で帰っていると西から陽が差していた。時間は16時30分頃。

部活があった頃、冬は体育館の中だから夕日を見ることはなかった。帰るときにはもう真っ暗だった。

だから、総体が終わってから一人で西陽を浴びるのは初めてだったと思う。そのときに、私は気づいた。自分がなぜ「西陽ってなんか寂しくない?」と言っていたのか。みんなと離れてしまうからそう思っているんだと。

それに気づいた次の日に、私はみんなで一緒に帰ろうと提案した。

一緒に帰ったときにやっぱりこの仲間が好きだと思った。

まあこのことも「ツンデレ」の私はみんなには伝えることができていない。

20歳になったときにでも話せたらいいかな。



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