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飲み過ぎて

昨夜の記憶が薄れていく中、胃の中からゆっくりと不快感が広がるのを感じながら、布団の中で目を覚ました。時計を見ると、朝の7時。ふと、自分がどのようにして家に帰ってきたのかすら思い出せない。昨日は友人との飲み会だったはずだが、いつの間にか飲み過ぎてしまったようだ。

まずは水を飲むために台所へと向かう。頭が重く、体全体が鉛のように感じる。台所に着くと、昨夜の自分の愚行の痕跡が散らばっている。洗い残しの食器、半分飲みかけのビール缶、床には何かがこぼれた跡。どうやら、途中でスナックを食べようとしたらしいが、成功した形跡は見当たらない。

「なんであんなに飲んだんだろう」と自己反省しながら、冷たい水を一口飲む。少し気分が良くなった気がするが、まだ頭痛は残っている。昨日の夜の出来事を断片的に思い出そうとするが、なぜか友人の顔がぐるぐると回り始め、さらに気分が悪くなる。思い出したくても、どうせ断片的な記憶しかない。そんな時、スマホがピロンと音を立てた。

メッセージを見ると、友人からのテキストが。そこには、昨夜の出来事の一部始終が詳細に書かれていた。「お前、カラオケでマイク奪って離さなかったぞ」「まさか、あの店でダンスするとは思わなかった」など、信じられないエピソードが次々と。しかも、その証拠となる動画まで送られてきた。見なければいいものを、好奇心には勝てず再生ボタンを押してしまう。

そこには、明らかに自分とは思えないほどハイテンションな男が、全力で「ライオンキング」の主題歌を歌い上げている姿が映っていた。さらに、自分の奇妙なダンスも含まれており、見ているだけで恥ずかしさがこみ上げてくる。友人たちの笑い声が背景で響き渡り、自分のテンションが上がりすぎたことを実感する。

「もう二度と飲まない」と心に誓うが、これもまた毎回のことだ。二日酔いの朝には必ずそう思うのに、次の飲み会が始まるとすべて忘れてしまう。これもまた、自分の弱さだろうか。それとも、人間の本質なのか。少し哲学的な思考にふけりながら、再び布団に戻る。今日は一日、静かに過ごすことにしよう。

しかし、再びスマホが鳴る。またもや友人からのメッセージだ。「今日の午後、みんなで反省会しようぜ。もちろん、飲みながら!」と。顔が青ざめるが、何となく断れない自分がいる。結局、また同じことを繰り返すのだろう。

こうして、飲みすぎた翌朝の反省はいつも同じ結末を迎える。もしかしたら、次回こそは本当に控えめにするかもしれない。いや、きっとそうだ。もう同じ失敗はしない...はず。

うそ。

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