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新型コロナウイルス感染症ワクチン接種 と「ギャンブル等依存症問題啓発週間」

今日は2021年5月14日だ。前日13日に長崎県は「医療危機事態宣言」が発令されていた。
そして、本日から「ギャンブル等依存症問題啓発週間」が始まるらしい。新聞報道によると、昨年11月から、医療機関としては長崎大学、そして県警、自治会協議会などの代表で構成しているIR誘致を見据えた準備会が「YouTube」で専門家の講演を配信する、と。

専門家の一人は県の精神医療センター院長である。演題は「ギャンブル障害(ギャンブル依存症)とは-正しい理解その対応-」となっている。彼は先のブログでふれた長崎大学精神科の精神科医とは違い、以前から多少は依存症に関心は持っており、当事者団体の立ち上げにも関わっていたが、依存症の臨床経験、とくにギャンブル依存症に対する関わりは皆無といっていい。そういったことから、長崎県精神医療センターに就任前から、関係資料、私の小著、自作のコラムなどは送ってきた。ただ、長崎県精神医療センターが長崎県下の精神科救急に加えて、医療観察法に基づく入院処遇を担っている。よって、そんな急性期、司法にかかわる施設の長に専念するようにとメールしたはずだ。何となれば、依存症疾患の精神科医療における急性期処遇でとり行われるいわゆる精神科救急の取り扱いは本来非常に短期間でなければならない。彼の就任前の長崎県精神医療センターでは、その扱いに以前から疑義があった。それを是正していただきたいと・・・。確か、まだ就任一年余りだ。とにかく、彼が院長として管理する長崎県精神医療センターのスタッフの依存症全般への「~正しい理解とその対応~」を深める指導を、まずは院内教育を期待していた。そしてまた、依存症疾患と向き合う上では、司法か精神科医療かといった役割の違いについての理解も重要だ。とくに行為依存(ギャンブル依存症、クレプトマニア)においては、精神科医療側のしっかりとした姿勢が問われる。その詳細は1ケ月ほど前に掲載のブログ「制度疲労おこしてる精神保健福祉法」でふれている。再読いただければ幸いだ。

ところが、長崎県精神医療センターの院長である彼から、3ヵ月ほど前当院の医療相談室へ直接電話があった。その内容はというと、長崎県精神医療センターに初診で訪れたギャンブル問題を抱え窃盗で服役が決まっているケースの今後の治療、支援のあり方についての基本的な問い合わせだった。公的機関のお得意の「どうにかしてくれ」といったほぼ「丸投げ」といった問い合わせだった。これでは、5月14日から「YouTube」で配信の「ギャンブル障害(ギャンブル依存症)とは-正しい理解とその対応-」を講演なさる方だが、その前にご自分自身がまず「正しい理解とその対応」を身に付けたいただきたい、とお願いしたい。また、当院の夜間集会等に参加させたいがコロナの影響で中止か否かとの問いかけも同時にあった。これも回復支援の社会資源の情報も持ってないことの証左である。
だから、何度も言ってることだが、今、IR誘致のためのギャンブル依存症対策ですか?と。
依存症当事者の回復のための居場所が「3密回避」とやらで、多く閉じられていることは事実だ。だったら、換気が行き届いた、今より広い空間を準備するといった検討はしないのか? 加えて、実施されている会場、できてない会場については行政(長崎こども・女性・障害者支援センター)で把握しておいてほしいものだ。これも民間精神科病院への丸投げは止めてくれ。また、担当大臣が「効率より・・・平等を重んじる・・・非常時には弱い・・・」と述べている。6月末までにファイザー製ワクチンだけでも約1億5千万回分確保と聞く、なら、まず依存症当事者諸君にワクチン接種を行えばいい。そしたらミーティングも行える。加えてその上で、県内でも準備されてるようだがワクチンの集団接種会場の設営、接種者の誘導などを彼らに依頼してもいいのではないか(*)。こんなやり方がきっと地域の「・・・正しい理解とその対応・・・」につながり、かつ、コロナ収束の促進にならないだろうか。これは私の一つの提案だが如何なものか・・・。そして、それが経済再開への道筋に少しでも役立つとしたら、帳面消しのIR誘致のためだけのギャンブル依存症対策より、よっぽど九州の経済界の方々も私の提案がいいと賛同いただけるのではと・・・。今は非常時だ!『できること、できないこと、しなければいけないこと、してはいけないこと』をしっかり考えて事にあたってほしい。これは自治体の首長が言うべきだが・・・、まさしく「民信なくば立たず」だ。

(*)当院では、職員ほぼ全員2回接種を5月13日に終え、来週からの入院患者、デイケア通所者、外来患者(依存症通院者も含む)、さらに本文でもふれた回復施設の依存症当事者への接種手順の検討を行っている。職員接種の体験から、小規模ながらも想定以上にもっと人手を、だった。

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