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ニケと歩けば soixante-trois

農耕地の守り神フクロウが今日も壁の高いところから見下ろしています。

朝日が昇るとスポットライトを浴びて私たちを覗いています。

少し西に行くと毎朝ラジオ体操に年配の男女が布引の滝に向かって歩いていくのに出会います。新神戸駅の東側の高架を抜けると急に右に曲がる坂が滝への散歩コースの始まりです。

道なりに下の川を覗きながらちょっと息を切らして進むと味のある古い石の橋に出くわします。出くわすと言えば4~5回大きなイノシシに正面衝突しそうになったことがあります。向こうはさすが猪突猛進、驚いて吠えた犬に突進して飼い主が骨折したという物騒な話も聞きます。

その橋が人間の世界と獣の世界を遮断するのか繋ぐのかは定かではありませんが渡ると急に空気が変わるのは確かです。

そこからは一番下の雌滝、鼓滝、夫婦滝そして雄滝とハイキングコースになっていてマイナスイオン溢れる森林浴を楽しむことができます。道の所々に「布引三十六歌碑」があり藤原定家、寂蓮法師,紀貫之,在原業平とビックネームが連なります。

幾代とも知られぬものは白雲の上より落つる布引の滝  藤原家隆

昔は三宮から遠くに白糸の滝が見えると祖母が指さして教えてくれましたが小さな私に見つけるだけの集中力もなくその場しのぎの返事をしていた記憶があります。

また小学校の遠足と言えば歩いての滝見物。森林浴のありがたさもわからずただ歩くだけの行事はあまり好きではありませんでした。最近はニケがその坂を上がっていきます。しばらくすると勢いのある滝の音が聞こえてひと休み。

マイナスイオンをいっぱい吸って先に進みます。

今日もいいこと、ありそうです。





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