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赤い傘

今夜は久しぶりの雨になりました。
せっかく桜が咲き始めたのに、大丈夫かな?と心配になりましたが、静かに満開になるのを待っているようです。

横断歩道の向かい側、信号待ちの女の子と若い父親でしょうか?
赤い傘と大きな傘が仲良く並んでいます。

私もあの子ぐらいの時、赤い傘を持っていましたっけ。持ち手に木彫りの白いスコッチテリアが彫られていて、ずーっとほしかったのをやっと買ってもらえたのを思い出しました。

元町通りにある傘屋さん。いろんな木彫りの持ち手が並んでいました。犬、猫、アヒル、ライオンもあったかな?なかなかリアルで欲しがった私を親は不思議がってました。

それをさしたくて雨になれば母と一緒に父を迎えに行きました。職場から自宅までそんなに遠くはなかったのですがわざわざ三宮のバス停まで。

そんな時父はいつもお土産をぶら下げて嬉しそうでした。
シュークリームの時もあれば、豚まん、または旬の赤いイチゴとお土産が楽しみの一つでした。

だから雨の日は大好きでした。父も帰り際、雨になれば私たちが迎えに来るとふんで近くの店で買ったのでしょう。携帯電話のない時代。確信もないのに迎えに行く私と母。約束もしていないのにお土産を買う父。今から思うとなんか面白い風景です。

家に着くと父は入浴。その間に母は食事の支度がお決まりでした。
そこに祖父母も加わって、毎日賑やかな夕食でした。

たまに叔母や従兄も加わるとさらに…。

夕食と言っても今では考えられない夕暮れ時でした。
父が遅く帰ってくることは月に2、3回で、毎日同じ時間に同じように…。
生活時間も几帳面な人でした。

今のように家族全員が忙しくて揃うのが稀!なんてことはほとんどありませんでした。

ゆっくりと時間が刻まれた昭和の風景です。
大きな出来事もなく、一年の行事は大切で、季節の移り変わりを楽しんでいたように思います。

戦後やっと生活が安定して、活気が出てきた神戸。そんな生活を送れるようになった有り難さを家族は何よりも大切にしたのだと思います。

この時期私がお土産で一番うれしかったのは桜餅。葉っぱは食べるものと教えられてこわごわ口にしたら少ししょっぱい味と桜の香りが鼻に抜けてこどもごころにも春を感じたものでした。

久しぶりに食べたくなりました。熱いほうじ茶と一緒に!

今日もいい日にしましょう!






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