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約束

いろんな約束を今までしてきました。実現したのもありますが多くは自然消滅。約束したことまで忘れてしまっていて後になってそういえば…。となります。

実現できるぐらいのものならいいのですが人は先の分からないことや確信が持てないことでも約束します。その時はあたかも実現するとの勘違い。

山を散歩しているとたまにあの当時の主人と同じような感じの男性が犬と散歩をしているのに出くわします。

もうずいぶん前のことです。子どもと日曜日。皆で散歩の山登りは好奇心で飛び跳ねる犬と子供たちの姿を後ろから見ながら二人でいろんな話をしました。

子供たちがもう少し大きくなったら、この散歩にもついて来なくなる。そう思うのに遠くはない年頃になっていました。でもまだまだむじゃきなふたりは柴犬のアルとまるでじゃれている兄弟みたいで楽しそうでした。

きっとあっという間に大きくなって巣立っていく日は必ず来るし、アルとのお別れの日も。それを考えるだけで少々胸が熱くなったりして…。平凡な日常だからそんなことでおセンチになるのだとも思いました。こんなに幸せでいいのだろうか…。

まさか!一番にいなくなるのが主人だなんて、これっぽちも思いませんでした。

「いつかはアルと二人の散歩になるなあ」主人がしみじみと言ったのを思い出しました。家族が好きで子供との時間を何よりも大切にしていました。

「先に私を見送ってから死んでよ!」との約束は果たされなかった一番の出来事でした。

その当時はそんなことはあり得ないこと。お互い年を重ねても傍にいることは当然のように思っていました。もしそんなことがあれば人生はどん底。どうやって生きて行けばいいの?考えるのも怖い!となったでしょうが、ある意味世間知らずの妻であり母親でした。

それが今こうして生き延びている!不思議なような、これが人生と納得するしかありませんが、私に与えられた人生なのでしょう。
手術は人の手で…。ならば失敗もあり得ることです。今、出来ることなら亡くなる寸前何を思ったのか聞きたいような、でも聞いたところでとなります。

恨んでも彼は帰ってこない、裁判をしてももとに戻れないと何度も自分に言い聞かせて只々残された子供を育てること、主人の残した仕事を継ごうと決心したあの日。

もう昇華されたと思っていたのにふいに現れるのはやはり奥底でいつまでもくすぶっているのでしょう。

今年も残りわずか。生かされるのなら残りの人生、自分のためのものにしようと復氏にした日から10年。果たして「そのようになっている?」と自問すれば頭の片隅で「YES]と答える私がいました。

今日もいい日にしましょう!




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