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ニケと歩けば cent onze

雨の朝になりました。どんよりと墨色の雲は低くゆっくりと流れています。

散歩の途中、いつもの顔見知りのご婦人に呼び止められました。

友達の90歳になる女性が、そろそろ終活の準備をしたいのだけれど何をすればいいのかわからないと困っている。ニケも一緒にその方のマンションに連れていかれました。

その年齢とは思えないほどきれいな肌で、なんとなく色気のある方です。

お話を聞くと長年?お妾さん!久しぶりに聞くなまめかしさです。

なるほど!その色気の謎が解けました。

身よりもなく旦那さんは10年前に亡くなられ子供もいない独居老人です。

買い物も行けるし病気もしていない。でも一人の時死んでも誰も見つけてくれない。それが悩みの種らしいです。

最近そんなお年寄りが増えました。友達が何とかしてくれると信じてますが、その友達も同じ年代、頼りに出来ません。反対にその人を彼女が世話をする気は、全くなさそうです。「迷惑をかけたくない」と言っても歳を重ねるとだれかに日常でも何かしらお世話なることが多々あることでしょう。

「焼いてくれるだけでいい」とお気楽なことを言う老人の多いこと。

倒れた時見つけて救急車を呼んでくれる。万一の時は葬儀社に電話する。納骨する。みんなお人にお世話をかけます。

「まずは市役所で相談したらどうですか?」「一応行ってみるけど…。」と言われましたが思い立ったが吉日で早めに行ってほしいものです。

そんなご老人が増えました。社会問題にもなっていますが、元気なうちの終活は大切であるとつくづく思いました。

私もエンディングノートに気が向いたとき書き留めています。

以前は少しの遺骨はセーヌ川にそっと流してほしいと子供に言いました。

旅行がてら行ってちょっぴりだけ…。「その旅費貯めといてね!」

そんなお願いはもうどうでもいいような気もします。「千の風になって」が気楽でいいかもしれません。


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