見出し画像

カボスのたより

今年も大分からカボスが送られてきました。小さな段ボール箱にいっぱい。

もう30年近くのお付き合いです。庭に実ったカボスを毎年送ってきてくれます。

独身だった彼は気持ちのいい九州男児。親子ほども年が離れているのに妙に気が合って家族ぐるみで、ご飯を食べたり、映画を観に行ったりと息子たちにとっては兄貴のような存在でした。

会社の転勤で故郷に帰ることになって、しばらく音信不通の時期もありましたが、娘が初めての出張で行くことになった時、連絡を取ったところ地元の美味しい魚を食べさせてくれたり、郷土料理をごちそうしてくれたりと娘の緊張をほぐしてくれたようです。娘は慣れない土地で知り合いがいるということの心強さを感じたようでした。

何年かして「結婚します。ぜひ式に!」という招待状が届きました。家族を代表して息子が参列することになりました。お寺での式は厳かで文欽高島田の花嫁に紋付羽織の新郎。幸せそうな二人の横で大学生の息子も嬉しそうに写真に納まっています。

今度は娘の結婚式、招待したところ快く神戸まで来てくれました。親族の少ない我が家の一員になってまるで兄のようでした。

それから毎年この季節になるとカボスが送られてきます。

それ以上のお付き合いもしていませんが、九州の親せきのような感じです。

こんな薄い付き合い方もあるんだと不思議に思いますが、これもまた、どこかでつながっている。人間関係は深いばかりがいいのではなくこんなニュートラルな付き合い方もいいもんだと毎回思います。何かご縁を感じます。

カボスはたくさん送ってくれるのでその時の親しい人たちに配ります。

最近はカボスを知らない人もいて、どのように使ったらいいのかわからない人も。

お味噌汁、焼き魚、お漬物、麺類。何にでも絞って味わいます。
いつも同じように秋刀魚の話も出て最近は毎回「高くて買えないねえ。」となります。

ゆず、カボス、すだち。どれも同じようですがこればかりはカボスが一番と譲らないところは見かけによらず硬派?な大分の人です。

今年はいつもより大ぶりなものばかり、今夜はちらしずしのお酢の代わりに使いましょう。サバかアジ、大葉と錦糸卵。もみのりに白ごま…。

また作りすぎそうですが、おすそ分けして秋を楽しみます。

カボスのお返しに毎年コーヒー豆を送ります。お互いのお礼メッセージは長いMAILでもなく、LINEでもないあっさりとショートメール。

我が家の秋はこのカボスで始まります。今年もお互いの無事をそれぞれに喜ぶ季節になりました。

今日もいい日にしましょう!

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?