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ジェトコースター人生 その52-1

先日のサッカーワールドカップ予選で首の皮一枚の日本。少し前ならもっと力が入っていましたが、最近淡々と観ていて勝っても負けてもさほど感情が揺さぶられなくなっていることに気が付きました。歳かなあ。

熱く応援していた時はフランスまで行きました。それだけではもったいないとついでに観光もということになり、スイス経由でまずは空港からバスでチューリッヒに向かいました。チューリッヒ湖の北端にある都市です。銀行や金融機関の建物が多く旧市街地は中世の小道が17世紀にたてられた市庁舎に続いています。

メンバーは息子とサッカー仲間の高校生の3人。その親2人、計画に加わったサッカーコーチ1人、旅行会社に就職した元スタッフの7人。

日本では初の出場ということで切符が取れず見切り発車でしたが、日本などまだまだ人気どころか知名度もないアジアの国でしたから、きっと現地では余っているはず。何ならダフ屋で買う覚悟。

試合の日にはまだ3日あります。ホテルはジュネーブのレマン湖のほとりにあってランドマークの噴水が勢いよく天を突いていました。

スイスと言えばアルプス。ハイジの可愛いしぐさとセントバーナードのヨーゼフ。私たち母親はユングフラウを目指して特急列車に乗りました。男性たちはゴルフに川下りにと初めての外国を忘れたかのようにいそいそと出かけました。

途中は一面の牧草。高山植物は花を咲かせて小さな小屋は干し草に埋もれそうなものもありましたが、必ず煙突から煙が上がって丁度お昼時。昼餉の支度でしょうか。子ブタはピンクではなくシロクロのぶちにリボンや首輪。

楽しそうに群がって遊んでいます。放し飼いの自由さを満喫しているみたいです。大きな牛にはカウベルが揺れて、心地よい音色です。登山列車が終着駅のユングフラウヨッホに着きました。

そこは夏だというのに雪を抱いた壮大な山の麓です。展望台は007の秘密基地のようでガラス張りのスタイリッシュな建物でした。

入口には赤いポスト。「世界で一番高いところにある!」と書かれていました。目の前に怖いくらいの急斜面、そこに青白い氷河が張り付いています。スキーで降りて行く場面がありましたが「こんなところを滑っていくのがボンドなんだわー」現実と映画がいっしょになってしまっています。

午後3時には日も暮れかけてぐんと寒くなります。しかしそこは観光の街。

ブランデーの小さな樽を首に着けたセントバーナードが尻尾を大きく振って近づいてきます。

つられてついて行くと記念写真のカメラの三脚がみえます。こっちこっち!というように自分は前列のど真ん中にドンと座ってカメラ目線で待っています。

その可愛さに騙されてほとんどの観光客は高い写真を買う羽目になります。撮影が済むとさっさと事務所に帰っていく辺りは手慣れた敏腕営業マンです。

「帰りはトンネルで眠くなるとすられるよ!」と車掌にアドバイスを受けてしっかりとカバンを抱きかかえました。

全員無事に帰ってきて美味しいチーズ料理をいただきました。町では夜中までワールドカップの盛り上がりでお祭り騒ぎです。

今から思うとよく息子たちは戻ってこられたなあとのんきな母親の自分がおかしく思い出されました。








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