見出し画像

蝉のようなひと

朝から何やら蝉の嵐!
友だちは山の方に住んでいて朝はそのやかましさ!で起き、騒がしさで眠れないと腹を立ててます。

七日の命!見逃してあげてよ。となだめてもこの猛暑が続く毎日ではさもありなんと言うところです。

今日が誕生日と言う女性に会いました。古希だそうです。
大きな声でゲラゲラ笑う豪快な女性です。

初めてなのにぐいぐいと私の心をえぐってきますが、同じようなタイプの女性は得意ではないのになぜかその屈託のない目元や口元にかわいらしさがあって数分もすると長年の知り合いのようになりました。

そう、彼女から蝉を思い出したのです。
耳をつんざくような、森を割るような響きは時として脳みその奥深く迄ドリルのように入っていきますが、その時の自分の心模様で、「今年もセミの声が聞けた!」となるのか寝不足の原因にして腹を立てるか、面白いものです。

シングルの彼女は会って数分の私に身の上話や、いろんな世間の事。特に女性が嫌い!だそうで、私の中に男!を見たそうで一気に気に入ったというのです。

50歳辺りから人との付き合いが面倒になってきて、お付き合いを徐々に減らしてきた。ろくな話題がない!人の事か自分の事ばかりでもう飽きた!となかなか手厳しい意見です。

全く同じではなくても「それ、分かる。」と思う自分がいて、外見や、表面の私とは全く違うのに、奥底には同じようなものが渦巻いているなと感じました。

何か早口で話す彼女の中に寂しさみたいなものも感じてそれは柔らかくてつぶれそうな心。なので鎧をまとって先制攻撃!ではないですが自分を守っているようにも見えました。

きついことを言っても目の奥が笑っている。本当は大事に育てられて心優しい少女の面影と一緒に、育ったという田舎の田んぼの風景迄思い描くことが出来ました。

照れ屋だからふざけたことを言ったり人にちょっかいをかける子供がいますがそれとも何となく似ていて…。

あっという間の一時間。
彼女は嵐のように去っていきました。
遠くから手を振る彼女は可愛らしい少女になって小さくなるまで私は見送りました。

今朝もけたたましくセミが鳴いています。公園ではスズメに追いかけられて必死に逃げる姿や仰向けになってもがいている姿をたまに見かけますが、それも自然の中の出来事。切なくてちょっとしょっぱい夏の風景ですが昨日の彼女を思い出す朝になりました。

半分の時間で散歩を切り上げるニケは今気持ちよさそうに夢の中。
朝からゆったりしています。

今日もいい日にしましょう


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?