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日記 2022年1月13日~15日

1月13日

非常に暖かい日だった。
鳥は優雅に大空を舞い、風はサラリと爽やかに頬を撫で、人は陽気に笑顔で歩いていた。
そんな中私は13日~15日まで故郷である札幌に帰省する。
5月から名古屋に住み始め、茹るような暑さを乗り越えたが、北国の人間からするとこちらの秋冬はどこか物足りなさを感じる気温だ。(とはいえ快適)
北海道のあのパリっとした寒さ、肌をつんざく空気がいざ故郷に帰るとなると欲したくなる。美味しいものを食べて、しっかり北海道の冬を感じて、暖かい部屋の中で寝て、太って帰ろうと期待に胸を膨らませて飛行機に乗った。
到着するや否や驚愕した。
雪が解けているではないか。
つい数日前のニュースで、函館⇔札幌間を通る広い国道5号線の小樽付近が大雪の影響で何時間も車が立ち往生したという報道があった。各交通の便も運休し、旅行者や帰省者のリターンや空港での一泊など余儀なくされた。
なんてことはない、冬はこの一例はざらにある。ただ、飛行機に乗る当事者の私は一抹の不安が過ぎったが、飛行機は問題なく運行し問題無く到着した。あのニュースは何だったのか。大雪が降り積もる中除雪車が黄色のパトランプを煌々と光らせ、せっせかと雪かきをしているニュース映像の世界とは全く違う世界だった。
1月の北海道には珍しい約9度という気温だった。下手すれば名古屋の方が寒いのではと感じるほど暖かくなっていた。
北海道の大雪というのは経験できなかったが、新千歳空港から札幌に伸びる電車の車窓から見える夕暮れに照らされた雪原に目を奪われ、北海道に帰ってきたんだなと実感した。
その日の夕飯はしゃぶしゃぶだった。美味。

1月14日

昼は母親からせっかく帰ってきたからということで近所の定食屋をご馳走してもらった。小樽市に本店を構える「なると屋」という店の支店だ。鶏の半身を丸ごと唐揚げにした「鶏の半身揚げ」が有名で、定食屋では「半身揚げ定食」「ざんぎ定食」「ざんぎ丼」など鶏肉の唐揚げをメインとした定食が味わえる。
私は札幌時代この店に足しげく通っていた。ざんぎ丼を食べた。美味。
昼食後、まだ名古屋に居を構えてから1年未満ではあるが少しノスタルジーに浸りたいと以前働いていた店に行ったり、ギターを購入し仲良くなった楽器屋のお兄さんに会いに行った。店の場所が変わっていたり、無くなっている店もあった。1年未満でこれほどまで変わるのかと時の流れの残酷さを感じた。楽器屋のお兄さんは変わってなかった。
夜には以前の会社の同期と合流し、一人暮らし時代しょっちゅう足を運んでいたマグロの刺身と日本酒が美味しい居酒屋に行った。
店主も変わらず元気そうで嬉しくなった。こじんまりとした店だがスタッフが増えていて通っていた時より一層にぎやかになっていた。
私が辞めた後の会社はどうなったとか、誰々が結婚したとか、君はポケモンで言うとネンドールとか言われたりして大いに楽しんだ。
解散後、他の店に一人で行こうと思ったがどこも人がいっぱいで、スナックも開いておらず、地面もつるつるで酩酊状態の男には危険だったので黙ってタクシーで帰ることにした。

1月15日

前日しこたま飲みしこたま食べた報復がやってきたのか、胸のあたりのむかつきが空港に着くまで拭えなかった。故郷に対する名残惜しさもあったのかもしれない。振り返ってみれば自分の周りにいい人しか居ないなと実感できた。正当な理由とはいえ会社を辞めた人間でも、1期生の時に可愛がってもらったあの時と同じように接してくれたり、忙しかったりでなかなか顔出せなかったお店に行っても「久しぶり!」と笑顔で出迎えてくれて、刺身をサービスしてもらったり、嬉しいことばかりだった。
いつでも帰れる場所があるんだという安心感と共にまたしばらく会えないという寂しさもありで胸いっぱいになってしまったのであろう。
お盆にまた帰ろうと思った。
胸のむかつきを取ってくれた空港のラーメン屋さん、ありがとう。
名古屋はパラパラと雨が降っていたが、相変わらず暖かく、北海道のつんざく寒さと比べると非常に快適だった。
どうやら私の身体は名古屋の気候に合ってしまったのかもしれない。
これからは、道民と名古屋民のハーフとして生活して行こうとはんかくさい考えでいるつもりだがや。

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