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ザイアンス効果

去年の終わり位からテック系のイベントに顔を出すようになりました。

大抵セッションとかセミナーの後に交流会があるのですが、多い時は100人以上参加者がいて名刺をもらってもこっちも覚えてないし、多分相手も覚えてないと思う。

それでも1回や2回行った位じゃよくわからんだろうということで割と頻繁に顔出すようになると自分と同じ様に常連がいることに気づく。

その中の一人の若いエンジニアに対して最初「なんだこのクソ生意気なガキは」とちょっとネガティブな印象を持っていた。

しかし、不思議なもので相手もイベント好きでしょっちゅう遭遇して、向こうから色々話しかけてくるものだからこっちもやむを得ず話をしていると悪い印象は消え去り、いつしか非常に仲良くなっていったのだ。

思えば学生の頃はずっと一緒にいるから友達は出来やすいが社会人になるとそもそも人と仲良くなるというのは急に難しくなる。

会社の上司や部下というのは上下関係があるのでどうしても一線を引いておこうとするし、じゃあ同期の同僚はというと職務上どうしてもライバルであるという事が多いだろうからこれまたなかなか利害が反するので仲良くなれない。まあ、この辺りは職種にもよるのだろうが。

だから職場以外の場の方が友達は作りやすいのでは?と思うが、結局1回会ってすぐに仲良くなるなんてことはそうそうない。

でも頻繁に顔を合わすと親近感を覚えてくるものだ。

あるセミナーで遅れてきた人間が自分の横に座った。

遅れてきた分際で足を組んでつま先がこちらの足に当たったり、咳をずっとしたり、鼻かんだり、前で一生懸命プレゼンしてるのに、スマホいじっくてるし、「なんだこの野郎は?!」と内心その男に怒り心頭だった。

セミナーが終わり交流会ということで一旦立ち上がり、そのムカつく男の顔も一瞬見ただけだったが、立席パーティーの時にその男性とたまたままた遭遇して向こうから話掛けてきた。

「以前〇〇のセミナーでもお会いしましたね?」

あ!そういえば以前別のセミナーでも会って懇親会で結構話し込んだ人だった。

それがわかった瞬間さっきまでのムカついた気持ちはきれいさっぱり雲散霧消して、非常に愉快な気持ちで話し続けた。「咳ひどかったけど大丈夫?」なんて気遣ったりして。さっきは「咳こじらせて肺炎で死ね」とか思ってたのに。

こういう経験をして思ったのが「人間というのは見知らぬ人に対しては警戒感を過剰に持ち、ちょっとしたことで敵意をむき出しにするものだ」ということ。

例えば、隣人の騒音トラブルとかにしても相手が素性のわからぬ人間だからムカつくし怒りも増大するが、普段からよく知っていて交流もあるような人間ならば然程腹も立たないだろう。

つまりある程度相手の人なりが知れてくると親近感を抱いてくるものなのだ。

あと認知という点でも他人と1回会うだけというのはほとんど意味がない。CMが短期間で大量に流されるのも結局は1回や2回見た位では人の記憶には残らず、「なんだこのCMしつこいな」と思われてやっと認知される。

自分は交流会の時に紙の名刺ではなく「スマホ名刺」を渡す。すると会うのが2回目だった人の場合、名刺交換の段階で以前会った事をお互いに忘れていても向こうが2回目であることに気づいてくれる。さっきのCMの話と同じで1回会っただけでは相手の記憶に残らないということだ。でも紙の名刺ではなく、スマホでQRコードを読み取らされるという体験が例外的だったのでそれがトリガーとなって思い出してくれたという訳だ。

だから複数回会って自分の事をちゃんと認知してくれた人は私が他の人に「QRコードリーダーありますか?」と訊いてるのを見て「あ、またやってる」と思いながら生暖かい目で見守ってくれている。

ということで人様の記憶に残る為には1回2回じゃ駄目ですよという話でした。



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