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大学4年間より専門学校を2年間の方が難易度が高い。

大学や専門学校で建築やインテリアの講師を始めて5年目になります。
一度に対応する学生の人数が20名そこそこということもありますが、登壇して講義をするというようなスタンスを行うことはなくできる限り学生と会話して課題を見つけて頂いてその課題に取り組んで頂くというようなスタンスです。

「講師たるもの」みたいな矜持があるわけではないですし、誰かから受け継がれたものも有りませんので、何を学生は求めていて何が目標なのか?を見つけるところからのスタートになります。
大学の4年間より専門学校の2年間の方が難易度が高いため、自分自身の為にも専門学校での講師のスタンスをまとめていきます。

講師業に必要な3つの役割。

いきなりですがポイントになる3つの役割がありまして、それはティーチング、コーチング、マネジメントです。
①ティーチング
技術を伝える人です。
建築やインテリアで言えば、図面やCADや3D、パースや模型、コーディネーションなどでしょうか。
マインドケアですね。
②コーチング
寄り添う人です。
鼓舞したり支えたり応援したり励ましたり。
メンタルケアですね。
③マネジメント
管理する人です。
学生たちも忙しいです。
バイト、就活、インターン、遊び、資格勉強、車校、学校、課題、ポートフォリオ。
大人たちよりもスケジュールとタスクは多いかも知れません。
今までタスク管理なんてしてこなかった学生たちが管理し切れるわけがありません。
そのため、複数いる講師たちと連携して、学生たちが乗り越えられるスケジュールとタスクを流動的に最適化し続ける管理者が必要です。
フィジカルケアですね。

実際のところ技術習得はYouTubeなどで代用できてしまいますので、①は本来必要のないポジションですね。
どこの大学や専門学校でも軽んじられてるのが②と③で、数字で利益性が認められるポジションではないため兼任して1人でこなさないといけないケースが多いようです。
②と③を別のポジションとして配置すべきなのは理由がありコーチングする大人の目線の違いが必要だからです。
コーチングは学生目線にたち共感や同意をする必要があり、マネジメントは客観視、俯瞰視が必要になります。
特にマネジメントはできる限り学生とのコミュニケーションを断ち常に外側から見ていなくては冷静な判断ができなくなります。
子育てする父と母の役割に似てますね。
自分自身に置き換えた場合、大学ではティーチング、専門学校ではコーチングの役割にスポっと治ってる感覚です。
但しティーチング、コーチング、マネジメントのそれぞれはティーチングスキルも持っていることが前提になります。(学生たちはその棲み分けの理解は困難なので)

教えたいことと学びたいこと。

専門学校の2年間では非常に短く、考え方次第では「2年ごときではなにも学べない」となります。
実際そんな風に言われる方達も多くいらっしゃいますが、おそらくそれは「自分たちが思う建築の技術の水準には達することはできない」というニュアンスなのだと思います。
そこが学生たちとの最大のギャップです。
そもそも講師をやられる先生方は設計事務所などを自身でやられている方が多く、その方々は設計事務所で下積みをし独立された方が多いため、学生たちのニーズの「会社員」の経験がない方が多いです。
先生方が「教えたいこと」と学生たちの「学びたいこと」のミスマッチが起こりやすい状況というのも頷けます。

集中力が継続する状況を作る。


5年間で色々試してきましたが、現状の学生たちのカリキュラムとしての最適解は、技術の反復練習、ディスカッション、ポートフォリオ作りだという点に落ち着きました。
僕は週一回の講義のため、1日1.5時間を2コマを2年で48コマでトータル72時間。
決して長くはない時間をどれだけロスなく使えるかが要点になります。
高校教育が1コマ1時間に満たない授業時間のため、その長さに合わせたカリキュラム構成が必要です。
3時間ぶっ続けの作業なんて集中力が切れてる時間が長いため、効率が悪いです。
2コマ3時間の授業を1時間×3コマとした方が良く、集中力が継続してる状態を作ることが望ましいです。

1時間反復
1時間ディスカッション
1時間ポートフォリオ作り
です。

狙いとしては、
・反復→1時間で完結できる作業
・ディスカッション→自分の意見を作る作業
・ポートフォリオ→ゴールまでが長い作業と長期間向き合う作業
と、狙いも細分化することで使う脳やメンタルを分けていくという考え方です。
今の所の最適解です。

卒業生とたまに飲みに行ってはヒアリングさせて頂くのですが「学生時代に何をしておけば良かったか」のヒアリングは間違いなく重要です。
その中で多かったのが反復とディスカッション的なことだったため今の最適解が生まれました。

最後に。

ひとつの学科の中の複数いる講師の中で、どういう役割分担をしていくのかがポイントになります。
学生たち含め人材を育てることを怠って来たため今の建築業界があります。
利益重視に振りすぎたためですね。
これは他業種にも言えることと思いますが、今からでも特に現役バリバリの若い講師が学生と関わることが重要だと思っております。
これを読んでくださる方に少しでも「育てる」という意識が芽生えて下さることを願います。

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