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バリアフリーとは?

Xでここしばらくリハビリについて悩んでいることを呟いておりました。文字数制限のある中では伝えられなかったことをここに記してみたいと思います。


肩関節周囲炎

今回のリハビリについての悩みはちょっと特殊でした。くも膜下出血による麻痺や高次脳機能障害ではなく、昨年6月ごろより始まった両肩の肩関節周囲炎のリハビリについての悩みでした。

肩関節内注射は定期的に受けていたものの「根治的にはリハビリで」と言われため自宅近くでリハビリを受けていました。が、なかなか良くならない。

別の痛みでお世話になった時にはとても楽になったのですが肩の痛みに関しては悪化することも多々あり、痛みに強い療法士さんがいるかもしれないとペインクリニックのリハビリに移ることとしました。

高次脳機能障害によるストレス

ペインでのリハビリが始まったのは秋の終わり頃だったでしょうか?
「1回2単位・週に2回、大変でしょうが頑張って通って下さい」
担当の療法士さんにそう言われました。

元々、上半身の痛みに対してトリガーポイント注射に通っていたクリニックでした。
注射だけの時はネットから予約し処置室で注射を打ってもらって帰る。それだけだったので通院の大変さはありましたが大きな問題はありませんでした。

ところがリハビリに通い始めると突然ハードルが上がりました。
狭い空間に10台ほどのベッドが並び、一斉に行われるリハビリ。

照明の明るさはサングラスで何とかなりましたが、飛び交う会話はどうにもなりません。
療法士さんとコミュニケーションが取れなくなるため耳栓もできず2単位終わるとぐったりという状態でした。

それまで打ってもらっていたトリガーポイントはリハビリ終了後に行うことに。
ところがリハビリで脳が疲弊しきってしまい先生とのコミュニケーションが上手く取れなくなってしまいました。
注射を打つ箇所や頻度などについて話がすれ違い、診察室から足が遠ざかってしまいました。

また、リハビリの予約を取ること自体も大変でした。
リハビリ室の中にある受付。リハビリが行なわれているベッドの前に並べられた10脚ほどの椅子に座って予約を取ります。

普通の人なら何でもないことが私には難しいです。他の患者さんが予約の相談をする隣で、自分も携帯の予定を見ながら受付の人と日程調整をする。
隣の人の日程なのか自分のなのか混乱することもありました。

ある日、前回キャンセルをしたため予約が少しややこしい状態になっていました。予約のシステムが理解出来ず何度も聞き返したためか、受付の人をイライラさせてしまいました。

一度苦手意識を持ってしまうと萎縮してしまい、更に理解が出来なくなるという悪循環。高次脳機能障害によりペインのリハビリがストレスとなってしまいました。

リハビリはどうあるべき?

私は一度通院が辛くて高次脳機能障害のリハビリをやめてしまったことがあります。

最寄駅から徒歩20分強、足元も悪くわかりにくい道で迷子になったりもしました。
また、生活の質の向上に直結することもない、ただただプリントをやるだけのリハビリに意味を見出せなくなり、数ヶ月で根を上げてしまいました。

"リハビリに通うのが辛い"
そう思ったとき高次脳機能障害のリハビリのことが頭をよぎりました。

"また辛いからとやめてしまうのか?そんなことでいいのか?"
自分の不甲斐なさに何とも言えない気持ちになりました。

そこでポストしたのが
"頑張るのがリハビリ
辛いのがリハビリ
乗り越えるのがリハビリ"
という言葉でした。

そんな私の呟きに何人かの方がコメントをくださいました。
その多くは
"無理しなくていいんじゃない"
"休んでもいいと思う"
といった優しい言葉でした。

ただ、今回の私のリハビリは麻痺に対してではないため一生続くものではなさそうです。「根治はリハビリで」と言われているので。

期間も限定されており、リハビリ自体が苦痛な訳でもない。
"リハビリの環境が辛い"
そんなことでまた逃げてしまっていいのだろうか?なかなか答えは出ませんでした。

療法士さんとのコミュニケーション

もう一つリハビリ内容についての悩みもありました。

回復期退院後に驚いたのは、リハビリとは療法士さんによる知識や技術、解釈によって内容が大きく異なることでした。

肩関節周囲炎と診断される以前から私の身体は痛みを感じやすい状態でした。
靴のインソールを変えただけで筋肉痛に悩まされる。
「何故?どうして?」自分以上に自費リハの療法士さんを悩ませていることと思います。

そんな状態なので肩関節周囲炎のリハビリもなかなか上手くいきません。ちょっと可動域や筋力の訓練をすると眠れないほどの痛みが出ることがあります。

自費の療法士さんが他の療法士さんに連絡をとって情報を共有してくれたりしました。
けれども実際に施術するのは肩関節を診ている療法士さんです。私の痛みの出やすさを考慮し、肩関節周囲炎に対してどういうリハビリを行うのかは担当の方にお任せするしかありません。

リハビリにおいてコミュケーションがいかに大切であるかは色々な場面で感じてきました。自費の療法士さんとは一年以上のお付き合いでもあり、私の身体の状態を良くご存知です。

本来ならばクリニックの療法士さんともきちんとコミュニケーションを取り、肩関節に関してはこの方が一番私のことを理解してくれている。そういう状況に持っていかなくてはなりません。けれどもここでも高次脳機能障害という大きな壁が立ちはだかります。

自分の状態を正確に伝えたいのに周りの人の話し声で上手く伝えられなかったり、療法士さんの話が理解できなかったり、そんなことが積み重なっていきました。

そしてもう一つ、これは私の性格によるものでありますが、聞かれなければなかなか言い出せないということがあります。

先に肩関節周囲炎のリハビリをお願いしていた近所の療法士さんも、ペインクリニックの療法士さんも共に
「注射を打つと関節が動かしやすい」
そう言われます。そして
「そうなんですか‥」
私の答えはいつもそんな感じでした。

「関節が動かしやすい」
それは療法士さん側の意見なのだと私は捉えています。

そして
「みどりさんはどうですか?」
と聞かれることはないため、私が動かしやすいと感じるかどうかは重要ではないのだと思って来ました。

けれどももしかしたらリハビリを円滑に行うためには伝える必要があったのかもしれないですね。

療法士さんとのコミュニケーション不足も合間ってか、自宅近くでリハビリしていたとき同様、ペインでもリハビリ後に痛みが悪化する傾向が出始めました。

この先のリハビリ

クリニックのリハビリに行くと脳が疲れ痛みが悪化する。けれどもこのまま頑張って続けたら肩関節周囲炎は良くなるのかも?その辺りのことが何もわかりませんでした。

療法士さんには
「リハビリを円滑に行うために痛みは投薬で調整して貰ってください」
医師には
「痙攣発作を起こしているので投薬はできません」
そう言われました。

この先一体どうしたらいいのかとても困りました。

環境的にもよく、私の状態を理解してくれている自費の療法士さんにお願いするのが、自分にとっては一番楽なのだろうと思いました。
ただ、クリニックのリハビリは当たり前ですが保険がききます。そこが自費とは大きく違うところです。

自費における金銭的負担は決して小さなものではありません。精神的、身体的負担はあっても保険でリハビリを受けられない訳ではない。楽なリハビリを求めることは我儘なのではないか?本当に悩みました。

もうどうしようもなく自費の療法士さんに
「自分がどうしたいのか考えをまとめてメッセージするので相談に乗って下さい」
そうお願いしました。

「もちろんです。みどりさんの率直な思いを教えて頂ければ幸いです」と快く引き受けて下さいました。
結果、私が送ったDMは1300字に及ぶものでした。カウントメモを使って下書きしていて、自分でもちょっとしたブログ並ではないかと驚きました💦

これについては別にブログにしたいと考えていますが、自費の療法士さんはメッセージの長さから私の悩みの深さを汲み取り、私の疑問や悩み一つ一つに丁寧に返事を書いて送ってくれました。

そして頂いたお返事を元に夫と毎日のように話し合いました。
何が正解で不正解というものではないのかもしれない、そう考え始めた頃
"君が納得して一番楽にできるリハビリ方法を選択するのがいいんじゃないか?"
その夫の言葉が決め手となりようやく決心がつきました。

結果として金銭的な負担はありますが、環境が良く精神的負担が最も少ない自費の施設で肩関節周囲炎のリハビリをお願いすることにしました。

もちろん家族の理解があればこその選択です。
「甘えていないで保険のきく病院でがんばれ」
そう言われても仕方ないので感謝しかないと思っています。

バリアフリーとは

今回は脳疾患とは関係のない整形外科領域のリハビリについての悩みですが、くも膜下出血の後遺症である高次脳機能障害が大きく関わっています。

改めてとても難しい問題だと思いました。
入院生活においてもですが、高次脳機能障害に対応・配慮して頂ける医療機関は多くありません。
人手においても設備においてもそんな余裕はないといったところでしょうか?

ただ、これが例えば身体的な後遺症だったらどうでしょう?
車椅子の方や視覚・聴覚に障害のある方への配慮というのは医療機関でも進んできている気がします。

"バリアフリー対応"
クリニックなどのホームページにそう書かれているのを時々見かけます。

私が通っていたクリニックにも
"院内はバリアフリー設計です"
と書かれています。
エレベーターがあり、段差がないので車椅子でも通院可能なクリニックです。

けれども、診察室とリハビリ室の間仕切りはカーテンのみで、診察室にいても常にリハビリ室の話し声が聞こえて来る状態です。

車椅子の人にとってはバリアフリー設計の診察室ですが私にとってはバリア有りの診察室です。

バリアフリー=車椅子対応可
こんな図式になっているところもあるのではないでしょうか?

もちろん点字ブロックが車椅子の方や杖歩行の方にとっては障害となるように、ある障害に対応したら別の障害に対しては障壁となってしまうことはあります。

だからこそ皆にとってバリアフリーであることは難しい課題だと思っています。

ただ、
バリアフリー=車椅子対応可
ではないと理解してほしい。

"当院はバリアフリーなのではなく車椅子対応可です"
そう理解してもらいたいのです。

せめて医療の現場では
"バリアフリーにできている訳ではない"
と認識し、本当の意味で
"バリアフリーに少しでも近づけるようにしたい"
そう意識して貰えたらと思います。

そうすることでもっと多くの様々な障害者の受診の負担が減るのではないかと思っています。