ショートカットって本当に短いの?
3年生担任。
手に持つものや自分のひじが子供たちの頭に当たらないか気を付けながら移動する日々を過ごしています。
思えば、今までは高学年の担任をすることが多く、子供たちは大抵のことなら何でも自分たちでできたため、「あ、これは初めてなのか」「ここでそう考えるんだ」と毎日が発見の連続で新鮮です。この前も、牛乳パックをつぶすときに残りがビュッと出なくなる小技を教えただけで驚きの表情。「先生やるじゃん」とほめてもらいました。なんてかわいい子たち。
さて、今日はそんな彼らとの算数の授業で見られた「あ、そう考えるんだ」を紹介します。
3年生「長さ」の単元。
よくある「教室のいろいろなものの長さ測定」に始まり、先生のウエストは何㎝か?からの巻き尺との出会い、目盛りの読み方、運動場にあるものの長さ測定、1㎞ってどのくらい?と授業が進んでいきました。
4時間目は、「道のり」と「距離」の意味の違いを知り、町の地図からそれらを読み取ったり計算で求めたりすることができるようになることをねらいとする授業でした。
L字型の道をかきながら、
T「先生の家からA君の家までは、真っすぐ300m、右に曲がって400mです。」
C「700mだ!」
C「めっちゃ近い!先生の家どこなの?」
C「本当の家じゃないよ。」
T「でも、実はあたり一面原っぱです。みんなならどう進む?」
C「原っぱを通ってまっすぐ進む!」
C「ショートカットだ!その方が早い!」
T「早いってどういうこと?」
C「ショートカットの方が歩かなくてすむでしょ?」
T「なるほど~」
といった感じで授業が進んでいき、この辺りで「道に沿って測った長さは道のり」「真っすぐに測った長さは距離」ということをおさえました。
子供たちがショートカットというストンと落ちる言葉を出してくれたので、その言葉を使いながら、町の地図問題に移ろうかなあと思っていた矢先、
C「ショートカットって本当に短いの?」
あ、そう考えるんだ~!
C「たしかに!」
C「さっきのは短かったけど、他の道は違うかもしれない!」
C「ショートケーキって短いの?」
C「他の道でも確かめてみようよ」
T「確かに、ショートカットしたつもりが遠回りだったらいやだもんなあ」
ということで、学習課題が「ショートカットって本当に短いの?」に変わりました。
直角三角形の斜辺の長さは他の2辺の長さの和より短くなることは感覚的に分かるかな?と思っていましたが子供たちの目はきらきら。
先ほどL字の道で考えていたため、自然と直角三角形で考え始める子供たち。ノートも方眼だからかきやすい。
C「(2辺の長さが)3㎝と3㎝ならどうかな」
C「10㎝10㎝ならどうかな」
C「先生黒板に1m1mでかいてみて」
あくなき相似図形への挑戦…
C「8㎝4㎝ならどうだろう」
C「8㎝2㎝ならどうだろう」
C「ショートケーキって短いの?」
C「8㎝1㎝は?」
C「どんどん8㎝に近づいてるよ!」
C「じゃあ8㎝と1㎜は?」
この展開は数学教師として燃える…
C「これもう8㎝じゃん!」
C「でも、8㎝ちょうどではないよ。ほら。」
C「道のりは2本目がある分絶対ちょっとだけ長くなるんだよ!」
ここで授業終了。
3年生の子たちならではの素朴な疑問から、数学世界の深淵をちょびっと覗くことができました。
このくらい分かるだろうな、と思っていたときの「あ、そう考えるんだ。」
その中にこそ、子供たちの学びの宝がたくさんあるんだろうなと感じます。
牛乳パックも、ショートケーキも、とことんやってみたいと思います。
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