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「日本、史上最も厳しい組」は事実?解釈?

報道をどのように見るか


2022ワールドカップ1次予選の対戦相手が発表されました
初戦はドイツ、さらにスペイン、サッカー大国が相手です
新聞の紙面やテレビでは、こんな言葉をよく見かけました
「日本、史上最も厳しい組」
よくよく読んでみると、
「この言葉…報道で使っていいのかな?」
という思いがもたげてきました


報道の基本


報道は、事実を伝えるのが原則です
記者の解釈を伝えると、事実をゆがめて報道しかねないからです
この見出し、「史上最も厳しい」は解釈ではないか?
なぜなら、「厳しい」という見方は、人によって違うからです
1キロメートル走る、という事実に、「厳しい」という人もいれば「楽」という人もいるでしょう
だからこそ、いいのかな?と思ってしまったわけです
そこで、元新聞記者の知り合いに聞いてみました
答えはこうでした


スポーツだけは少し主観がはいってもよい、という暗黙の了解がある
日本の新聞が、日本の読者に書くのだから、日本の立場から報道しなければならない

だそうです。
なるほど!!納得しました


ニュースには、それぞれの立場で違った見方があります
しかし、日本代表に対しては、日本人だから基本的には応援する立場
だからこそ、同じ日本人として解釈を交えて書いても、同じ日本人として間違いではない、ということなのです


それでは??


では、私たち、教師の立場で子どもたちを見るときは、どうしたらよいのでしょうか
教師の解釈を交えなければ、当然指導はできません
「いじめはよくない」
「お代わりしたら、残してはいけない」
などなど、多岐にわたるでしょう
しかし、事件・事故があったときにはこうした解釈は一切捨てなければなりません
例えば、朝学校に来なかった子どもが、交通事故に巻き込まれた事例があったとします
その際、学校としての指導記録を教育委員会や警察などに提出しなければなりません

「8:30 A児が登校していない。電話もつながらない。担任が家庭訪問」
「8:45 A児宅。インターフォンを鳴らしても反応がない。居留守を使っているようだ」
と書いてしまった時点で、この記録は使えません。
解釈が入っているからです。
もしかしたら、教師の対応の不手際が問題だったと言われかねません
なぜ、中にいるとわかっていても、対応しなかった?と責められる可能性があります

これではどうでしょうか?
「8:45 A児宅。インターフォンを鳴らしても反応がない。居間の電気がついている。A児の部屋の電気がついている。郵便受けから声をかけても、反応はなかった」
これだと、事実が書いてあります。
しかも、それなのに、読んだ側にとっては、A児が中にいるような印象もあります
こうして、うまく事実を使いこなして解釈を隠し、記録を書く必要があります

ニーチェ「事実というものは存在しない。 存在するのは解釈だけである。」
という言葉を常々肝に銘じて、教師の仕事に生かしていきたいと思います

                         三浦健太朗

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