世界一幸せな国と言われたブータン、今は?
世界幸福度ランキングというものがあります。2012年から、国連が毎年発表しているもので、世界的な調査です。社会保障や人生の自由度、他人への寛容さなど、多くの項目で決定されるもののようです。
2022年の調査では、フィンランドが1位。2位デンマーク、3位スイスなど、軒並みヨーロッパ諸国が上位を占めています。
話題になるのが日本の幸福度ランキングの低さですが、アジア諸国は全体的に低いようですね。2022年の調査では、アジアトップの台湾でも26位です。シンガポールは27位で、日本は54位でアジアでは3位です。ここには、宗教的なことや文化も関わっているのだと思われます。
さて、一時期話題になったのが、2013年にブータンが幸福度で8位になったことです。ヨーロッパばかりが上位に並ぶ中、アジアでしかも発展途上国のブータンがトップ10に入ったことから、
「世界一幸せな国」
と言われるようになりました。国民がみな、
「雨風をしのげる家があり、食べるものがあり、家族がいるから幸せだ」
と話していたと言われています。チベット仏教の影響により、家族のきずなが強いこと、信仰心の強さが、幸福度の理由と考えられています。
このことから私たちは、幸せとは何か?ということを学びました。簡単に言うと、物資的な豊かさではなく、心の持ちようが幸せを生むということを知ったわけです。
さて、そのブータン。2019年度版の幸福度調査ではどうなったのでしょうか。なんと、156か国中95位となってしまいました。急落です。
これは、グローバル化の進展で、自分たちの諸外国の暮らしを知ってしまったことが原因と言われています。他国の豊かさを知り、自分たちの貧困を知ってしまったのが主な原因だということです。
あれ…他国が豊かでも、自分たちが幸せだと感じることが大切だったのはなかったのでしょうか…。
今回のブータンのことをことを考えると、どうもそうではないようです。むしろ、諸外国の豊かな暮らしを見てしまったことで自分たちの暮らし比べてしまい、「ああ…自分たちは幸せではなかったのだ」と思ってしまったということでしょう。
グローバル化やインターネットの普及などにより、私たちには多くの情報が降りかかってくるようになりました。ブータンの事例は、私たちにも言えることです。何を見て、何を考え、取り入れるのかを選択する力が、これまで以上に必要になってきます。家の文化、学校の文化という内なるものを見つめ、選択する力で幸せを守っていく。なにもこのことは今に始まったことではないのでしょうが、これまで以上に必要な力になっていると言えそうです。
三浦健太朗
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