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【トラウマ豆知識】終わったはずの戦争と、今の私たちの生きづらさ

 占い師をしつつ、ピアカウンセラーとしてトラウマケアにも携わっている穂積歩夜(ほづみほよ)です。

 本日も、トラウマに関する豆知識をシェアします。豆知識と言いつつ、今回は少々ヘビーです。

終わったはずの戦争と、今の私たちの生きづらさ

 戦争を直接体験していない世代にとって、戦争は終わったもので、教科書の中の出来事だという感覚があるのは普通です。

 でも、戦争が今、私たちが日々感じている「生きづらさ」につながっているとしたら、考え方はどう変わるでしょう?

 近年、「毒親」とか「親ガチャに外れた」という言葉で表現されるように、虐待があったなど、自分が育った家庭環境の悪さを嘆く方は多いです。

 そんな環境に生まれたことを悲しんだり、怒ったりする気持ちが出てくるのは当たり前ですし、悪いことでもありません。
 ただ、そのような気持ちに翻弄されてしまっているだけでは、生きづらさが解消しないのも事実です。

 どうしてそのような家庭になってしまったのか、という背景に目を向けると、そこに終わったはずの「戦争」が横たわっていることに気が付きます。

 戦争を経験した世代は、飢餓や理不尽な暴力など、今の私たちでは想像できないようなトラウマ体験をしました。世界中から虐待を受けてしまったような、壮絶な体験です。

 自分の身に危機が迫った時、人にはストレス反応が起こります。戦おうとしたり、その場に固まって何も感じないようにしたり。危機が去ると、緊張が解け、このような反応は消えていきます。

 しかし、戦時下では、命が危機にさらされる場面は日常茶飯事。一時的な緊張状態が恒常的なものになり、トラウマ化していきます。こうなってしまうと、戦争が終わった後の日常にも、影響が残ってしまうのです。

 たとえば、目の前で自分の子どもが泣き止まない時。

 自分の言うことを聞いてくれない、という状況が、自由を奪われていた戦時下の屈辱的な感覚と結びつき、フラッシュバックを起こします。
 ストレス反応は、コントロールできるものではありません。気が付いた時には子どもを殴っていたり、ネグレクトしてしまっていたりするのです。やってしまった後で、本人がひどく後悔することも珍しくありません。

 虐待された子どもが、その経験からトラウマを抱えれば、また次の世代に連鎖する可能性があります。

 ただし、大事なことは、それはあくまで「可能性」だということ。

 ここで、虐待してしまった親が、自分にトラウマ反応が起こったことに気付いて、フォローを入れることができたなら。

 あるいは、虐待を受けてしまった子どもが、その背景にあった親のトラウマ経験に気付いて、親を責める以外の方法で自分に起こったことを説明できたなら。

 トラウマは、それ以上は連鎖しません。

 だから、日本人全体の大きなトラウマ経験である戦争を理解しようとすることは、今日私たちが抱えている「生きづらさ」を理解し、解消していくことにもつながるのです。

 そう思うと、終わったはずの戦争との向き合い方が、少し変わってきませんか?

 トラウマから抜けるために必要なのは、トラウマについての知識をつけること、自分の気持ちや状況を言葉にすること、人とのコミュニケーションに慣れていくこと。

 トラウマケアに関しては、ピアという立場で、傾聴をしています。
 よろしければ、お役立てくださいませ。

 


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