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第15章ー第二都市(寮の3階、二人部屋)  1、 「由美ちゃんも、地獄姫様に何かお願いが あったのかな?」


本文に交霊術が出てきますが、絶対真似をしないでください。
何かあっても、作者は責任を取れません。
自己責任でお願いします。

太字の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
()の中の文字は、作者による注釈です。  
太字の「」は、大きな声や音です。

作者より



川原さんとおしゃべり


寮の1階と3階を合わせた見取り図です。
登場人物たちは、右上の二人部屋の周辺でいます。

 外の廊下に出ると、二人部屋の前で川原 幸子さん(以下、すべて川原さん)が
どうしようかと悩んでいる。高森君は、いないらしい。


 私は、近くに行き
「開けないの?」
「う、うん・・・・」
うなずくも、じっと二人部屋のドアを見ている。


 私は思い切って、ドアの把手とってに手をかけ開け放す。
「あっ・・・・・。」
川原さんが小さく声を上げ、離れていくドアに手を伸ばすも、それはむなしく放物線を描き、遠ざかっていった。


 部屋の中は何もなく、床の上の血は(銀河連合たちにより)きれいに拭き取られ、窓からは薄らと夕闇の濃くなってきた空に、針のように細い三日月とまたたきき始めた星たちが見える。(ん? 三日月と星?)

 階段から、複数の足音とガヤガヤと人々の話し声が聞こえ、しだいに大きくなってくる。
 とっさに、私は部屋の中に入る。
 つられて、川原さんも中に入って来た。

お腹の張りについて

 私は思い出し、窓の方に行き、その下の窓枠を見る。
 窓枠は、(銀河連合により)ほこり1つ、ついていない。
 川原さんも私の隣に来て、窓枠に目をやる。そして、しきりにお腹をさすり始めた。
「大丈夫?」と私
「・・・・最近、お腹の張るのが、ひどくなってきて・・・」
つばをゴクリと飲み込むと、続けて
「地獄姫様に、どうしたら良いか、きこうと思って」
ルナ様!
 部屋の外から、アーサーたちの喜びの声が聞こえてきた。
「澪木、見なかったか?」と、奥の部屋の中からマーズちゃんの声
「見なかったわ。」
アルテミスの声と共に、奥の部屋のドアが閉まった。
(ごめん、マーズちゃん)

「いいの?」
「うん、少しの間だったら・・・お腹、さすってみようか?」
「えっ!?・・・・・でも・・・・」
「嫌だったら、やめる。」
「えっ・・・・。」
「お腹って生き物みたいだよね。不安になったり緊張したら痛くなって、お腹すいたら「お腹すいたよ」って鳴って教えてくれるの。」
「うん、そうだね。」
川原さんが笑みを浮かべる。
「だから「大丈夫」って言いながら、さすってあげたら、お腹も安心して大人しくなるんじゃないかな?」
「そうか・・・・」そして
「大丈夫、大丈夫」と、お腹をさすり始めた。
「ほんとだ。」と笑顔になる。
 お腹の張りが治まってきたみたいだ。


交霊術について

 私は
「ねえ、地獄姫様を呼び出すのって、どうやってやったの?」ときいてみる。
「でも結局、来てくれなかったみたい・・・」
ここ・・にいるんですけど・・・)
 川原さんはお腹をさすりながら、しばらく考えていたが
「由美が、図書室から本を見つけてきて・・・」
「何を?」
「交霊術の本を・・・その中に地獄姫様と会話する方法があって・・・その上から、鉛筆を互いに、こうやって持って、文字の書かれた紙の上に置くと勝手に動くんだけど、質問すると、その鉛筆が地獄姫様の言葉に沿って動くんだって、で、やってみたんだけど・・・」
「けど?」
川原さんは首をかしげ
「よく覚えてなくて、気がついたら由美はいなくて、机と椅子が倒れてて・・・・」
(木花さんが女子生徒たちを寮の中に招き入れていたのを、思い出したようだ。) 
「その文字の書かれた紙って持ってる? 交霊術の本も見たいんだけど・・・」
「交霊術の本は、図書室に行ったらあると思うんだけど・・・紙は部屋にあると思うんだけど、ちょっと見当たらなくて・・・」
「じゃ、えっと・・・由美ちゃんも、地獄姫様に何かお願いがあったのかな?」
「由美と知り合いなの?」
「う、うん、ちょっとした知り合い。(嘘です)由美ちゃんも何かお願い事がないと、交霊術なんて
しようと思わない、と思うんだけど・・・」
「・・・・ごめんなさい。あまり話してくれなくて」
川原さんが、しょんぼりする。
(落ち込んじゃった・・・)


木花さんの部屋


 食堂の方がガヤガヤと騒がしくなり、人々の話し声といい匂いが漂ってきた。
夕食に、人が集まって来たようだ。

 私は、しばらく考え込み
「あの、事務員の木花 咲子さんって、どんな人?」
「えっ!?・・・・えっと、とても優しくて真面目な人、青木先生が好きな人。」
「青木先生って?」
「いつもジャージ着てる体育の先生。」(あの先生か・・・)
 私は開けっぱなしの出入り口を見て、考え込む。

「どうしたの?」
「あっ、えっと、最後に1つだけ、木花 咲子さんって、寮のどの部屋にいるの? あんまり姿を見ないんだけど・・・」
「ああ・・木花さんは、学校の職員用の出入り口のカウンターの奥の部屋(用務員室、下の見取り図を参照)が、そうなんだけど・・・」
「ええ!?・・・寂しくない?」
「私も、そう思うんだけど・・・自分は、あそこが似合ってるって言ってたかな? 前に由美からきいたんだけど・・・。」
(へえー、なんか別の一面が見えて来た。)ありがとう、楽しかったよ。」
と言いながら、私はドアの方へ行く。
「私も、由美以外の人とこんなに長く話したのは久しぶり」と笑顔になり、ついて来る。
「じゃ、また。」
「うん。」
(やっぱり、おしゃべりは永遠のストレスの特効薬だな、特に女の子の。)

ソウイチロウが案内した所の前に、用務員室があります。
(幻覚については13章-1)

 


 廊下に出ると食堂では、エルザたち生徒や先生、都市の人たちが席につき、その間を姫子さんや料理担当の女性たち3人が、忙しそうに席の間を回ってスープをついだりしている。
 エルザたちが
「あらっ!」と私たちを見上げ
「あっ、高森くん。」と川原さん
 廊下にいる高森くんが
「あれっ、さっき、女神様と部下たちが・・・」
 私は片手を上げ
「じゃ。」と、奥の部屋へと向かった。


次回

第16章ー第二都市(寮の3階、1番奥の部屋)
1, 「一つの方向から、物を見ないようにしろ」


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