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第10章、第二都市(寮の3階1番奥の部屋)ー1「なんで金具だけ、ついてんだ?」
部下たちが会話の中で言ってる王とは、キングのことです。
・太字の()の中の文字や文章は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
・()の中の文字や文章は、作者による注釈です。
おかしな金具
![](https://assets.st-note.com/img/1705301685553-pWeE1pQOrN.jpg)
「副隊長! 今そこで、すごいもん見たっす。俺、初めて背筋がゾクゾクって・・・まだ、この辺にゾクゾクが少し」
ソウイチロウの滅多に聞いたことのない、はしゃいだ声が耳に飛び込んできて目を覚ます。
(ソウイチロウ、来たんだ・・・一晩中あの砂漠を歩いて、走って、かな?・・)
私は、昨夜の夢の中で、由美ちゃんがハアハアいいながら砂漠を歩いていた様子を思い出す。(第9章-1)
隣の寝室から、掃除機の音が聞こえてくる。その音が止まり、ニッカちゃんの
「マーズ様、これって、おかしくないですか?」
「うん・・なんで金具だけ、ついてんだ?」
(ドア、壊したのかな?)
「おはよう、1番のお寝坊さんね。」
アルテミスがニッコリと、私の顔を覗き込む。
「おはよう。」
私は半分、寝ぼけ眼(まなこ)で起き上がる。アルテミスが続けて
「朝方、姫子さんが厨房のお水が出ないって来たわよ。それでオフィーリアが出かけて・・フローラはさっそく、部下たちと並木道の方に出かけたわ。」
「うん・・・・。」
「ライガのことは、どうするの?」とアルテミス
布団の上で、あぐらをかいて座っているバッカスが
「ライガって、木を食べるイモ虫じゃねえのかよ。」
その隣にはハピラキがいる。
私が
「木を食べるイモ虫、でも、それは食べた物の消化を助けるため。」と説明すると
「どういう意味だよ、それ?」とバッカスが詰め寄ってきた。
「そのまんまの意味だよ。今はA地区の亡者たちの一掃に集中したい、終わったら説明する。」
バッカスは首をかしげ
「木は消化を助けるため? 酒のつまみ、みたいなもんかよ?」
「そうそう、バッカス、わかってるじゃん。」
私は笑顔になり、アルテミスも
「うまい例えね。」と口に手を当てて笑う。
出入り口の襖が開いて、マーズちゃんが
「キングが来たぜ。」
「よっぽど、第三都市がまずいのかな?」と私
「そうね。」とアルテミス
急に出窓の方から複数人の話し声が聞こえ、外の方が騒がしくなった。
「アルテミス、あの写真、見せて。」と私
「いいわよ、A地区が終わったら渡すわ。ソウイチロウ君に頼むんでしょ?」
「うん。」
![](https://assets.st-note.com/img/1704780930920-O8pGl2kF0d.jpg)
(私のホームページに移動します。)
着る服
渡された写真を見ると
「ありがとう。」と言って、すぐに返す。
「あら、もう良いの?」
「うん、どんな服を着ていたか見たかっただけだから(白シャツかー)。」
バッカスが、アルテミスから写真をもらい
「あー確かになー・・着るもんも変わるんだもんなー。」
横からマーズちゃんも覗き込む。部下たちも覗き込み
ハピラキが
「ほんとだ、生徒会長さんらしいね。」
リボルバーが
「うん、あの黒い服じゃ、なんか葬式でもあったんかと思いますよね、マーズ様。」とリボルバー
「昨日の男の子、もう気づいているかな?」とニッカちゃん
「そうね。」とアルテミス
部屋の出入り口のドアが開いて、オフィーリアとフローラと、その女性の部下たちが入って来た。
オフィーリアが
「キングが、「食堂で朝ごはんにしよう」て言ってますけど、どういたします?」
「あーキング・・「食べたかったら都市の人たちと食べて」て言っといて」と私
「あら、良いの?」とアルテミス
「うん・・・オフィーリア、川を作るのって半日で、できる?」
「え、えーと・・・やれますわ。」と両手を握って力を込める。
「でも、姫のお体が・・・。」とナナ
「大丈夫ですよ、私は川の女神オフィーリアなのですから、A地区の人も困っておりますでしょうに、ね。」と私を見る。
「うん・・ありがとう、フローラは? 並木道の木はどうだった?」
「少し萎れてましたけど、まあまあでしたわよ。枯れている様子もなかったですし・・」
「サファロストと会った?」と私
「ええ、「大地がうごめいてる」でしょ、でもサファロスも、ガイアにきいてみないとわからないて。」
「サファロスは「空気が震えている」って言ってたけど・・・。」と私
「それは・・・みーちゃん(主人公)が来たから、学校と寮は普通に戻ってるって言ってましたわ。」
バッカスが
「「学校と寮は」って、それから向こうはどうなってんだよ? B地区やC地区だってあんだろ?」
部下たちも、うなずく。
「え・・・えーと、後で見て来ますわ。」
「行かなくて良いよ。安全が確認できたらで、学校と寮は安全になったんだから、寮から向こうはどうなっているか、わからないんだし」と私が言った所で
「トントン」とドアがノックされる。
「副隊長だ。」
私は立ち上がり、マーズちゃんが
「たぶんキングのやつが早く朝飯、食べに来いって言ってんだぜ。」
ライガは今、蛹の時期
![](https://assets.st-note.com/img/1705301780153-nZosKKQ1yn.jpg?width=1200)
私はドアの前まで行き、半分ほど開ける。案の丈、副隊長とその後ろには私の部下たちで
「王が来ましたけど、どうします?」と副隊長
「食欲がないから朝ごはんは食べない。30分ぐらいで支度したらA地区の方に向かうから、「先にA地区に行く」よう言っといて。」
「わかりました・・・。」
私はさらにドアを開け
「藍白君、タガメ君。」
「はい。」
副隊長の後ろから、藍白やタガメが「何事か?」といった表情で来た。
私の後ろからオフィーリアが
「それは、私が言いますわ。」と言って私の横を通って、ナナとミミを従え外に出て行く。
私はドアを閉め、振り向き
「マーズちゃん、朝ご飯は?」
マーズちゃんは、珍しく照れくさそうに
「俺も正直、食欲ねえんだよ、緊張してんのかな?」
「うん、終わったらお腹が空いてくるよ。後でキングに、おいしいもの出してもらお。」
「うん。」とマーズちゃんは笑顔でうなずき、その部下たちも笑顔になる。
私は、和室から出て来たアルテミスに
「私の推測だと、ライガは今、蛹の時期だと思うんだけど・・・」
「そうね」
「何日ぐらいで羽化するか、銀河連合の人にきいといてもらえる?」
「・・・わかったわ。じゃ、もう行くわね。」
と言って、アルテミスは消えた。
次回は、いよいよA地区の亡者たちを地獄に送り返します。
次回
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