日銀はなぜ「大規模金融緩和」を続けるのか
■まえがき
アメリカのインフレ利上げの影響を受け,世界は利上げの流れへと動いています.世界の多くがアメリカに足並みを合わせる中,日本は真逆の流れ,つまり金融緩和を続けるようです.この記事では,世界に逆行せざるをえない,日本経済の現状について解説していきます.
■結論
簡潔に言うと,日銀が金融緩和を続けるのは
日本の景気が良くならないから です.
ここから先は,掘り下げて説明していきます.景気と金融政策の関係について,日本経済の歴史とともに見ていきましょう.
■バブル崩壊と低金利政策
バブル経済の頃は,なんと銀行にお金を預けていただけで勝手にお金が増えていきました.これは我々が銀行にお金を貸しているために,その金利を貰えたからです.ですが,今の銀行では預けてもお金は増えませんよね.これは現在の日本の銀行の預金金利がほぼゼロだからです.
この低金利の原因は,バブル経済が崩壊したことによる景気後退です.金利と景気には関係があるんです.
例えば,銀行預金に高い金利がついていたとします.このとき,銀行に預けているだけでお金が増えるのですから,人々はお金を使わずに貯めようとする傾向が強くなります.
同じように,低い金利だったなら,銀行に預けてもお金は増えないので,人々はよりお金を使おうとします.
つまり,消費を抑えたい(好景気の行き過ぎを抑えたい)なら金利を上げ,消費を促進したい(景気を良くしたい)なら金利を下げる必要があるのです.わかりやすくするために色々省きましたが,簡単に言うとこういう仕組みになっています.
さて,バブル崩壊の話に戻ります.バブル崩壊によって引き起こされた景気後退への対策として,日銀は金利を下げにかかりました.しかし一向に景気は良くならず,どんどん金利は下がっていきます.そうして現在に至るまでに,金利はほぼゼロになりました.
バブル崩壊は1990年代の初め頃からです.ものすんごい勢いで下がってますね.
しかし,ゼロ金利政策だけでは終わりません.これだけでは,景気は良くならなかったのです.金利は基本的にはゼロより下げることができないため,これ以上のことはほぼできません.つまり,金利政策の限界がきてしまったのです.そこで導入されたのが「量的・質的金融緩和」です.
■量的・質的金融緩和と今日の日本経済
これらの量的・質的金融緩和は,家計や企業に対して消費や投資を促すためにおこなわれました.アベノミクスの「三本の矢」の内の一本です.
ですが,この「量的・質的金融緩和」もまた,未だに思ったような効果を出すには至っておらず,景気は停滞したままなのです.
景気が良くない状態で金融緩和をやめて利上げをおこなえば,更に消費を渋らせて景気が悪くなってしまいます.だから,金融緩和をやめることができないのです.
■今後の展望 - これからの日本経済はどうなる?
日本は今,非常に厳しい状況です.景気はよくならないし,コロナのダメージも大きいです.私個人の予想としては,まだしばらくは金融緩和が続くと考えます.日本経済の停滞もまだ続くと思います.もちろんこれから先どうなるかなんて誰にもわかりませんが,あまり希望の持てる状況でないことだけは理解しておきましょう.
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