オーフ・ザ・レコード物語;20XX年のゴッチャ その121
秘書室
その夜遅く、オーフ・ザ・レコードに矢吹が再び姿を現した。先客が既に帰宅したらしく、ルークは真っ白な布巾でグラスを丁寧に拭っていた。
「生?それともシェリーにするかい?」
「シェリーがあるならお願いします」
ワイン用の冷蔵庫からルークは中身が半分程残ったシェリーの瓶を取り出し、小さめのワイン・グラスに注ぐ。それを見ながら矢吹が言った。
「それにしても、最近、他の客に会わないですね。先輩、大丈夫なんですか?」
遠慮は無い。
「パンデミック