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新宿毒電波通信 創刊号「新宿幻影」


新宿幻影「プラスチックの炎」 ニイミケイタ

新宿幻影「プラスチックの炎」

ニイミケイタ(カイザーストロングバーツ)

 どうも。カイザーストロングバーツというバンドのボーカル、ニイミケイタです。古い曲のひとつに「プラスチックの炎」という曲があるんやけど、それは新宿で見た光景やそっから受けた印象が歌詞になったもの。
 まだ西口に小田急があって、駅前から見上げる空が激狭だった頃。昼過ぎに西口の上空に蠢く3本の透明な触手を見た。深海にいるチューブワームを巨大にしたようなそいつは、ぎこちなく蠢いとった。気のせいやろと思って、大ガード方面へと歩く。すると、新宿駅のビルの角に折り目があることに気づいた。ワイドショーのテロップのような感じで剥がれそうなので、剥がしてみる。そこには、現実のネガのような夜の新宿があった。夜だとわかったのは、真っ白な空に黒い月や星があったから。肺病持ちの少年と、勝気な少女がおった。
 そこから「尊い犠牲ってやつはでまかせなんだろ」「消しゴムのカスなら私いらないわ」「ここは世界の剥がれた場所 透き通る皮膚と子供たち」等の歌詞ができて、人前で歌った。だって、これは僕の真実だったから。

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