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資源エネルギー庁のいうエネルギーミックスを実現するための前提「S+3E」から現在のエネルギー高騰を考えてみる

電気代やガス代の高騰に、災害による停電、原子力発電所の再稼働だけでなく、気候変動に向けたカーボンニュートラルを目指した経済活動…

2021年10月以降、電力などのエネルギーにまつわるニュースを常に気にしているような状態です。しかも、なんだか話の内容が複雑で大きな話しか出てきませんからもどかしい…。

この理由は、日本が天然資源の乏しい国であるがために、電力を生み出すた発電方法が火力や原子力、再生可能エネルギーなど、たくさんある方法の中で、どれか一つに依存するのではなく組み合わせるしかありません。

そんな状況で生まれたのが「エネルギーミックス」という言葉です。

政府は2030年までにベストミックスを目指し、さまざまなエネルギー政策を進めているのですが、その基本方針となるのが経済産業省資源エネルギー庁が定める「S+3E」です。

今回は、S+3Eを中心にエネルギーミックスについて考えていきます。

「S+3E」とは

まず、S+3Eは以下の通りです。

  • Safety|安全性

  • Energy Security|エネルギーの安定供給

  • Economic Efficiency|経済効率性の向上

  • Environment|環境への適合

実は、2018年7月に策定された第5次エネルギー基本計画では「3E+S」と表記されていましたが、2021年10月に策定された第6次エネルギー基本計画では安全性が大前提であるとし、Sが前に配置されることとなりました。

エネルギー資源の乏しい日本では、S+3Eの要素を最適な配分で満たすことが非常に困難であることがそれぞれの要素を見ていくことで理解できます。

Safety|安全性

2011年に東京電力福島第一原子力発電所で起こった事故の経験と反省、教訓は、それまでのエネルギー政策からの転換を図る上で最も重要な事案でした。

2011年以降、原子力発電の割合は大きく減少し、日本はエネルギー自給率を大きく低下させることになります。

原子力発電については、さまざまな意見がありますが、資源の乏しい日本の政府は日本の抱えるエネルギー問題を解決するためには不可欠なエネルギー源であると考えており、何よりも安全性を最優先とする「新規制基準」に適合することを条件に再稼働を進めています。

しかし、何においてもそうですが、物事に「絶対」はありません。
たとえば身近になった太陽光発電も自然災害で発電設備の崩落事故などを想定すべきですし、他の発電方法についても同様で安全対策が必要です。

どんな発電方法を扱うにしても、安全性を高めていくこと、高めるための対策を講じることが必要であり、求められていることなのです。

Energy Security|エネルギーの安定供給

エネルギーはどこでどんな状況においても利用できるようにしてもらいたい。私たちは当然ながらそう考えます。

上記した通り、日本はエネルギー自給率を原発の稼働を抑えたことで低くならざるをえませんでした。

2010年には20%ほどだったエネルギー自給率は、2019年時点で12.1%と徐々に増えてはいるものの低水準。

(出典)経済産業省資源エネルギー庁「主要国の一次エネルギー自給率比較(2019年)」
(出典)経済産業省資源エネルギー庁「我が国のエネルギー自給率」

そこに2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻の影響でLNG(液化天然ガス)の輸入ができなくなり、一つの国や地域からの輸入に依存することのリスクが露呈しました。

資源の乏しい日本では、今後も国際情勢によって電源供給が難しくなる場面はいつ訪れてもおかしくはないと言えます。

Economic Efficiency|経済効率性の向上

電気料金をはじめとしたエネルギーを利用の料金は2021年9月以降で急激に上がっています。

理由は複数ありますが、代表的なものを挙げると新型コロナウィルス感染症から世界経済が回復したことによるエネルギー需要の急拡大や、石炭や石油採掘への投資控え、上記したロシアによるウクライナ侵攻などです。

特に世界市場で天然ガスの輸出において大きな存在感を誇っていたロシアが輸出を遮断したことにより、天然ガスの価格は2021年9月と比較すると2022年8月には3倍以上の金額に高騰しています。

(出典)新電力ネット「天然ガス価格の推移($/mmbtu)」

日本の大きなエネルギー資源でもある原油価格も2021年9月比で2倍以上も高騰していることもあり、エネルギーを生成しようにも調達費用自体が高騰化しているため、利用料金自体が高額になってしまうのです。

(出典)新電力ネット「原油価格推移($/バレル)」

国が行うエネルギー政策を推進することで、エネルギーの生成過程を技術革新などで効率化し、少量の燃料で大量のエネルギーを作ることも目指していますが、カーボンニュートラルと経済成長がバランスするにはまだ時間がかかるのが実情です。

経済成長を考える上ではエネルギーの経済効率性を高めることが必要ですが、省エネの徹底や研究開発、先端技術の活用などコストを可能な限り低減させていくことが必要だと言わざるをえません。

Environment|環境への適合

カーボンニュートラルや脱炭素など、気候変動対策としてCO2削減に向けて政府は「GX(グリーントランスフォーメーション)」と名称づけ、クリーンエネルギーへの転換自体を産業化させようと目論んでいます。

なぜ、国はクリーンへの転換を産業化させようと考えるのでしょう。

「環境にやさしい」とは言葉にすること自体は簡単ですが、モノが生まれてから廃棄されるまでの過程で排出されるCO2を「ライフサイクルCO2」と呼びますが、これを大きく低減することは決して容易なことではありません。

また、石油や石炭など硫黄分が含まれる化石燃料を燃焼させると発生するSOx(硫黄酸化物)や物が高い温度で燃焼した際に空気中の窒素と酸素が結びついて発生する一酸化窒素や二酸化窒素などのNOx(窒素酸化物)といった大気汚染物質の排出や放射性廃棄物など、いわゆる後始末のことまで考慮することは従来の産業構造を破壊せざるをえないほどに困難なことです。

抜本的に電気への見方を再考すべき

上記してきたように、日本は独自の資源を保有していないのにも関わらず、「安全なエネルギー」を強く求めながら「安定的に電力を供給」できるようにすることも追い求め、同時に「環境にも優しい」だけでなく「経済的にも効率性の高い(安い)」ことを求めているのです。

これを全て満たすことを考えると、他国からのエネルギー資源輸入に頼らざるをえない以上は電気料金の高騰化は避けられないことであると理解できると同時に、エネルギーへの向き合い方を抜本から見直すことが必要だと述べることもできます。

今後も、日本の中からエネルギー資源が生まれることを期待はできません。再生エネルギーなどを中心に自国で資源を確保できるまでは他国からの資源輸入に頼る他にないからで、その年数は1、2年でどうにかなるモノでもありません。

現状の施設や設備を前提にしつつ、エネルギー価格の高騰に備える必要があるため、省エネ化などの投資が必要になり、長期的に回収することを目指していくことが経済活動を行う上での前提になってきました。

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新潟でんきでは、電気契約だけでなく消費電力の削減(省エネ)や再生可能エネルギーなどの普及推進によって脱炭素社会の実現にも寄与しています。

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