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自動車を使用しているだけで毎年10万円以上の税負担...自動車にかかる税金について

日常的に自動車を利用するユーザーの方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。

日本では乗用車の保有台数は2021年12月末時点で62,164,868台となっていて、これは1世帯あたり1.037台となります。(日本の世帯数 59,497,356世帯)また、新潟県は上位都道府県となり、1.531台で上から11番目に保有台数の多い地域となっています。

この台数は年々、徐々に下がってきてはいるものの、いまだに各世帯で1台を超える台数を保有している現状は続きそうです。

一般財団法人 自動車検査登録情報協会(自家用乗用車の世帯当たり普及台数)

毎年、5月になると自動車税の支払いを求められる通知書や保険の更新に伴う保険料納付の通知書が手元に届いて憂鬱な気分になる人もいるのではないでしょうか。少なくとも、これを書いている私自身、そろそろ近づいてくるこの季節は本当に嫌な気分を抱いています。

多くの人が保有している自動車ですが、それにどんな税金がかけられているのかを把握している人は決して多数派ではないでしょう。そこで、今回は自動車にかけられている税金について詳しく見ていくことにします。

自動車での生活をする上で関わる税金

自動車に関わる税金というと身近に感じられるのは年に一度通知が届く「自動車税」が思いつきやすいのではないでしょうか。でも、自動車に関わる税金はそれだけではありません。大きく分けると三段階で徴収されており、それは以下の通りです。

図1_自動車に関わる税金(段階ごと)

■ 取得(購入)段階

取得段階とは、自動車を購入する際のことを指しており、燃費性能に応じてかかる税金が変動します。つまり、燃費の良い自動車ほど税率が軽減される仕組みとなっていて、新車だろうが中古車だろうが関係なく対象となる税金です。なお、電気自動車は非課税での取得が可能となります。

図2_経済産業省「環境性能割」

従来、自動車取得税として購入時に取得価額に対して課税されていた税金(登録者3%、軽自動車2%)は、2019年10月の消費税率引き上げ時に燃費性能の高い自動車を優遇することで環境にも配慮する上にユーザーの利点を出そうとされたものとなっています。

■ 保有段階

保有段階でかかる税金とは、春を過ぎた頃に支払いの通知が届くもので、「自動車重量税」と「自動車税」の二つ

前者は0.5tあたり年額(軽自動車は定額)で定められていますが、納税は車検時に有効期間分を前払いする形になっています。

新車の場合は3年分、継続検査や中古車の新規登録の場合は2年分で、廃車の際には自動車リサイクル法に基づいて適正に処理された場合に限り、車検期間に余裕があれば相当する金額が還付されるようにもなっています。

もう一つの「自動車税」は毎年4月1日時点で自動車の保有者に向けて課せられるもので、保有している自動車の排気量によって税額が定められており、途中で廃車にした場合は月割で翌月から年度末までの分が返還されます。(ただし、軽自動車税については還付制度はありません。)

■ 使用段階

使用段階でかかる税金とは、車を動かすためのエネルギーとしてガソリンを給油するたびにかかる税金のことを指します。揮発油、聞きなれない言葉です。「温度15度において0.8017を超えない比重を有する炭化水素油」と定められている油のことで、一般的にはガソリンと呼ばれています。

この揮発油税は「国税」と「地方税」の2種類が合算されて徴収されており、国税は国の財源として、地方税は地方自治体に譲与されるのですが、当初は道路整備の財源とすることを主として設定されたものでした。

当初設定された税率は28.7円/Lでしたが、現在では1.9倍と約2倍になってしまっています。

これは1974年度に暫定措置として設定された税率の期限が2007年末に延長期限が切れたのにもかかわらず、何かと暫定措置は継続され2010年には特例税率として”当面の間”53.8円の税率が維持されることになりました。

ガソリンへの揮発油税や石油ガス税と消費税の二重課税?

ガソリンではなく軽油を扱う場合には軽油引取税が適用されるのですが、こちらも本来で言うと15.0円/Lであるはずの税金は32.1円/Lとなっていて、実に2.1倍も多く徴収される事態になっています。

これに加えて石油ガス税という名称で国産の石油石炭採取者と輸入原油を保税地域から引き取る者から徴収されることになっているものがありますが、ガソリン料金に含められるため実質的に支払うのは我々生活者ということになる税金もあります。

そもそもガソリン自体に税金がかかっており、それをガソリンを給油する全ての人たちから徴収されているにもかかわらず、消費税も徴収されていることから「二重課税」ではないのかと指摘されてもいますが、これらの状況が変わることはすぐには難しそうです。

なぜなら、冒頭でも記載している通り自動車の保有台数は非常に多く、それらの台数分だけガソリンが利用されるのだとしたら、政府の財源として大きなものになっています。

2021年(令和3年)の揮発油税総額2兆700億円、地方揮発油税は2,214億円にものぼり、使用目的は道路財源だけでなく一般財源として多様な使途があることから国や地方自治体にとって手放したくはないものになっている点からも、わかりそうなものです。

日本の税収額の約1割を負担する自動車ユーザー

ここまで見てきた通り、自動車を保有する際にかかる税金について触れてきましたが、これらの負担について所在国と比較したものが以下で、イギリスやドイツ、フランス、アメリカと比較すると日本がダントツに多いことがわかります。

図3_車体(取得・保有)課税の国際比較(13年間使用した場合)_JAFより

これらを受けて自動車を手放すことを検討するような方もいるかもしれませんが、地方都市に住む私のような人間からすると手放すこと自体が現実的ではなく、むしろ、どうしようもない絶望感すら抱いてしまいかねない状況にあるといえます。

しかし、日本のあらゆる政策に対する財源を提供していることを考えると、むげに否定していいものかどうか考えてしまいます。せっかく考えたのであれば、否定的に捉えるのではなく、むしろ有益な使われ方をしているのかどうかを確認することが必要なのだろうと考えた次第です。

自動車ユーザーのみなさん!

あなたが自動車に乗っているおかげで、日本は成り立っているのです!

自信を持って運転しながら、安全運転で行きましょう!

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