魅惑の和製英語
加 藤 麻 子
「デンキブラン」という飲み物をご存知だろうか?私は初耳だったのだが、昭和レトロに憧れを抱く若者たちには人気のワードなのだそうだ。ハイボールを再流行させた酒造メーカーあたりの仕業だろうか?
(上記画像2種出典:Wikipedia)
ウィキペディアによると「電気」が目新しかった明治時代に生まれたブランデーベースのカクテルと記されている。アルコール度数が高く、ビールをチェーサーにすると感電したかのように痺れる飲み物らしい。大正時代には、ドイツ語から入ってきたとされる「文化」という言葉が「文化+住宅」「文化+包丁」等、時代を反映する言葉を生み出し、インターネットが普及した近年では「サイバー+〜」「e-+〜」等という言葉が流行ったのと同じ現象だったようだ。
造語能力が高い日本語は、日本語だけではなく外国語も全く同じ土俵で料理してしまうのが面白い。そこで、カタカナ英語 を思いつくままに5つのパターンに分類してみた。
【パターン1】日本語 + 英語 = 新語を造る
電気 + ブランデー = 電氣ブラン(アルコール40度のオールドボトル) デンキブラン(アルコール30度の新ボトル) 土壇場 + キャンセル = ドタキャン 断然 + トップ = ダントツ
イケてる + メン(男性)= イケメン
ブービー + 賞 = (米国人は失笑)second from the last prize
【パターン2】親しみのある英単語をカタカナ表記して異なる意味を表す
ドリンクバー = all you can drink /free refill
エコカー = a low-emission vehicle
ライトアップ = illumination
レベルアップ = improve バージンロード = church isle/wedding isle
ランニングマシーン = treadmill
【パターン3】英語を短縮して使用。英語では異なる意味になることがある。
リスケ(英語: きわどい)= リスケジュール
サンド( 英語: 砂)= サンドウィッチ
アイス (英語: 氷)= アイスクリーム
チョコ(英語: ?) = チョコレート
メタボ (英語?)= メタボリックシンドローム
【パターン4】英語もどきを使って目眩し効果を狙う
ハローワーク (職業安定所) → public employment agency
Go To Travel (旅行促進計画) → Travel Promotion Plans マイナンバー(国民背番号制度)→ Citizen Numbering System
Cf. Social Security Number
マイカー (自家用車)→ Private car, one’s own car
【パターン5】英語から和製英語を創り出す
ボリューミー = 英語で「量(の多さ)」を意味する volume(ボリューム)に 接尾辞 -y を加えて形容詞化。英語で「量が多い」という形容詞は voluminous や a large amount, a big portionが一般的。 ハイタッチ = high five
ビーチサンダル = flip flops チャレンジ = try
リベンジ = try again
カタカナ英語は、外国人が初めて日本語を学ぶときの手がかりになるという。反対に、英語を学ぶ日本の子供達も、コマーシャルや街中に溢れるカタカナ英語が英語を学ぶときの手助けになるという。ところが、入門/初級から中級にさしかかる頃に、突如カタカナ英語の弊害に気づく日がやってくるのだ。
(2021年4月20日)
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