峠(上)司馬遼太郎
はじめての読書感想文です。学生時代の読書感想文といえば、あらすじを長々と書き、ネットからのコピペを繰り返していた(先生すみませんでした)ので、うまく書ける自信はまったくありません……。
私の好きな漫画家(クリエイター?)の羊の目。さんという方がおすすめされていた「峠」という本を読みました。上中下の3巻構成で、まだ上しか読み終えていませんが、現時点での感想を書きます。
あらすじ
幕末、越後長岡藩(今の新潟県?)に、はみ出し者の河井継之助という男がいました。自他共に認める奇人で、物事の原理原則を突き詰めて考え、それによって行動しようとするのが彼の生き方。遊学のために江戸に行った継之助ですが、江戸での学問では飽き足らず、更に西へと赴きます。
登場人物の魅力
継之助が各地で出会う登場人物たちが魅力的でした。私が特に気に入ったのは、主人公の継之助はもちろん、彼が旅先で出会った遊女の小稲と、京の公家の織部。彼女たちは、それぞれ身分などの差はあれ、教養があり、賢く、また度胸があるんです。普段からすぐに思考に耽る継之助を自分だけに集中させたり、屋敷が火事でも決して慌てず、主人として継之助を送り出したり。彼女たちは「強い」のでしょうが、それを表に出さないところがかっこいな、と思いました。賢い女に私もなりたい。
幕末という時代
歴史小説を読むのは初めてでしたが、面白かったです。勉強になりました。ただ言葉が少し難しいので、Kindleの辞書機能を使って調べながら読みました。
この「峠」は、桜田門外の変があって、10年後に明治維新が起きる、そんな激動の時代の直前の話。時代は違えど、今の日本と似ている部分もたくさんありました。役職者は常に二人以上いて責任の所在をうやむやにする、とか、「事情を慮る」文化とか。
印象深かった言葉
人は立場によって生き、立場によって死ぬ
継之助のポリシーのひとつ。継之助は常に自分で考えて自身の身の振り方を決めていますが、その動機がこれです。「自分がこうしたいからこうする」ではなくて、「自分は長岡藩の藩士である。幕府が滅んでも自分の藩を存続させるためにはどうすればよいか」と、すべて自らが置かれた立場から考えをスタートさせているんです。この本は今を生きる自分にもいかせるところが多いですが、ここは現代とは違うなと思いました。
原則によって生きる
シンプル!日本では昔からある、いわゆる「忖度」一切なし。気持ちいい。
和泉式部は享楽主義者であったー現世を謳歌し快楽を享受するには、厭世主義によって「いのちはこの世だけのもの」としなければ享楽主義が美しいものにならない
(原文ママではありません)
平安時代の貴族って「この世は儚い…だからこそ美しい…」みたいな歌たくさん読んでますけど、快楽に溺れたかっただけの人もいたみたいです。急に親近感。
継之助は翼をもっている
原理原則によって生きる継之助なので、当時の伝統である「様々な役職を経てようやく重役に就く」などといったことはすっ飛ばして、いきなり役人になったりします。それを表した言葉。私も翼を持った人になりたい。
おわりに
中巻以降は、幕府滅亡に向かう日本での継之助を描くようです。こちらも読んだら感想を書きます。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
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