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外国語学習に文法用語はどの程度必要か

先日の戦略に従って、「日本語教育文法II」から今クールの授業をスタートしている。
既知の事項が多いので、難しくはないけど、専門的な分類、言い回しが多いので閉口中。

例えば今日勉強している「副詞」。
副詞は、変化せずに「用言」を修飾する。
大きく分けて、「様態副詞」「程度副詞」「陳述/誘導副詞」に分かれる。

アカデミックに日本語をやってる人は別にどうとも思わないんだろうけど、一般の人が「様態」とか「陳述副詞」って言われて分からないよね。
用言は体言とかと一緒に学校文法で学習するから、「連用形」なんかと一緒に覚えている人もいるかもしれないけど。

私ももちろん授業中に文法用語をドイツ語で使うことはある。
名詞、動詞、形容詞、助詞などの品詞は言葉の分別を知るのにも、そのグルーピングを知っておいた方がいいと思う。
でも、助詞の種類は教えていない。
まあ、初級ばかりということもあるのかもしれないけど、「格助詞」とか「取り立て助詞」とかって知る必要があるのかなあと思う・・・
よく、「文法上の名前は覚えなくてもいいけど、そういうグループ分けがあるのだ、ということを知ってください」とか言ってるかな。

例えば、私は外国語としてドイツ語を学習したが、役割的には格助詞に相当するような冠詞の格変化というものがある。
日本語ではそれを1格、2格、3格、4格と呼んでいた。
ところが、ドイツに来たら、Nominativ、Genetiv、Dativ、Akkusativといっているので、何を言っているか全くわからなかった。
(「1.Fall」「2.Fall」・・・という言い方もある。
第一のケースという意味になるので、1格が全くの想像というわけではない)

ところが、今自分が少し言語界隈に身をおいてみると、日本語の呼び方もドイツ語の呼び方も分かりにくいなあと思う。

ドイツ語はそもそもラテン語から来ているので、普通に使わない言葉なので、分かりにくい。
(しいていえば、NominativはNomen名詞と関係あるかなと思うくらい)
ドイツ語の文法用語は子どもたちが勉強しているのを見ても、全くわけわからんちんだ。

日本語もぱっと見は分かりやすいが、じゃあ、1格は何?と言われると、皆目見当はつかない。
「主格、属格、与格、対格」という言い方をみかけることもあるが、主格は主語っぽいとして、属もそこにある感じ?と思うけど、与える?対する?というのが分かりにくい。

「主格、所有格、間接目的格、直接目的格」は文字数は増えるが、ぐっと分かりやすくなる。
しかし、間接と直接が分かりにくい。

ドイツの小学校では、文法用語(ラテン語)を教える前には、ドイツ語から成り立つ言葉で文法を習う。
形容詞ならWie-Wort(how-word/どんな-言葉)、名詞はWas-Wort(what-word/何-言葉)、動詞はTun-Wort(do-word/する-言葉)と言った具合。
そこでは、冠詞の格は、「Wer-Fall」(誰が-ケース)「Wessen-Fall」(誰の-ケース)「Wem-Fall」(誰に-ケース)「Wen-Fall」(誰を-ケース)という。

つまり「間接目的格」は「誰に『格』」、「直接目的格」は「誰を『格』」だということだ。
こっちのがよっぽど分かりやすい!!
「与格」は「与える」じゃなくて、「与えられる」だったんだよ!
分からね~!

学習者だって、お偉い学者の先生たちが頭をあれこれひねくりまわした小難しい言葉よりも、普段から使う言葉で言われた方が、同じグルーピングでも分かりやすくて、覚えやすいんじゃないか。

そんなわけで、今日から私界隈では、様態副詞は「どんなふうにいつ副詞」、程度副詞は「どんだけ副詞」、陳述副詞は「セット(文法用語でいう呼応)副詞」と呼ぶことにします。
テストでそうやって出ないけどねw




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