日本ベッドの歴史(8): プラットフォームタイプのヒット ─1980年代後半まで─
1981(昭和56)年、ボンネルスプリングマットレス全盛の時代に、日本ベッドは独自の発想で開発した新しいポケットコイルマットレスを上市しました。同じ頃、ベッドフレームにもヒット商品が生まれていました。
1970年代から80年代の住宅事情
1970年代初頭に180万戸余程もあった新設住宅の着工数は、二度にわたるオイルショックの影響を受け、1970年代後半には120万戸弱に減少しました。
当時、住宅価格は上昇しましたが、所得は伸び悩みました。住宅建築は工期の短縮と、価格の手頃さが求められるようになります。質より量の時代です。
家具業界も同様に、世の中の経済状況を反映して、より一層のコストダウンに追われました。
住宅の間取りは機能性が重視され、何LDKと数える個室で構成された住宅が建てられました。個人の空間は、家族の団欒スペースから区分けられ、プライベートスペースが多く設けられました。平屋一階建てから二階建てに増築といった形も多くなります。
それまで好調だったプレハブ住宅市場が不況に陥ったことで、各住宅メーカーは商品の差別化を迫られました。
1980年代には注文住宅の建築が増え、量より質の時代を迎えます。
住宅傾向を反映したヒット商品群
1980年代は謂わば、豊かさを実感出来ることが住まいに求められた時代です。
住宅事情の動向は、商品傾向にも反映されました。
日本ベッドはデザインから素材、色合い、寝心地など、きめ細かく対応したベッドを展開していくことになります。機能性や、材質バリエーションの豊かさを提案、ホテルライクな家庭用ベッド、ヘッドオフタイプなど、多種多様な商品が発売されました。
中でも、当時、オリジナルで開発した「プラットフォームタイプ」のロープロポーションベッド「イーヴス」は、マットレスを載せる床(とこ)部分がスリムで圧迫感がなく、空間を広々感じられると大ヒットしました。