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「忖度」するマスコミ

4回目の「ゴーン逮捕」。

 “会見を開く”と、彼がtwitterで発言した側から逮捕なのだから口封じの為なのは明らかだし、何と検察は裁判の為に用意していた弁護資料まで押収していったというのだから、もう無茶苦茶というしかない。

  で、この逮捕を受けて、各局のテレビにはこの逮捕を解説するコメンテーターが登場するのだが、もっとも多かったのは上の画像の高井康行なる元検事の弁護士、所謂、「ヤメ検」。彼の発言が検察擁護ばかりで、まるで“「地検の弁護人”のようで不思議だったと、このスクショ画像をtwitterにアップしていた方も言っていたのだが、実は不思議でも何でもない。

    彼、高井康行の他にも、若狭勝、住田裕子、大澤孝征、落合洋司…テレビでよく見る、事件や裁判についてのコメンテーターには圧倒的に元検事、「ヤメ検」が多いし、彼らは検察の批判などは一切せず、擁護ばかりしているのは誰でも知っている筈。(因みに、「ヤメ検」の中には、ほぼ唯一の例外として検察批判をする郷原信郎氏もいるが、彼を画面に出すテレビ番組はかなり良心的と言っていいだろう)

   そう、話は逆で、テレビによく出ている彼らがたまたま検察を擁護しているのではなく、テレビが検察を擁護して貰う為に彼ら「ヤメ検」をよく出しているだけなのだ。

 彼ら「ヤメ検」は“検察・警察のスポークスマン”と言っていいし、テレビや新聞、マスコミが事件や裁判の報道をする時に彼らに発言させれば、ちゃんと彼らが検察や警察の弁護をしてくれて、マスコミが検察や警察の不興を買わなくてすむ、そういう図式になっているのだ。

 なぜそんなことを?と思う方もいるだろうが、テレビや新聞、マスコミにとって「ゴーンの逮捕」もそうだが、「ピエール瀧の薬物使用」だ、殺人事件だ、何だといった事件の報道、「事件報道・犯罪報道」はニュース報道の目玉。

 と言っても、事件や犯罪の詳細が判らなければ報道することも出来ないし、そういう情報は警察や検察からしか出てこない。だからマスコミの記者は「記者クラブ」を通して警察や検察の情報を得る一方、関係者を追い掛け回して少しでももっと詳しい情報を得ようとする。その為には彼らの不興を買う訳にはいかないのだ。不興を買うどころかもし警察や検察を批判でもして怒らせてしまえば、それこそ「記者クラブ」からも出入り禁止になって、情報が一切入らなくなり、事件報道が全く出来なくなるなんてこともない話ではない。

 そもそも日本の場合、警察や検察には会見を開いたり、マスコミに説明する義務はないし、あくまでも好意としてマスコミに情報を提供しているカタチ。特に検察などは個別の事件で会見を開くことなどほぼ間違いなくないし、何か会見をする時も検察が一方的にコメントを発表するだけで、マスコミが追及したり、それこそカメラを入れて中継するようなことは絶対にない。

 米国などでは検察トップの地方検事が選挙で選ばれる為に、何か事件がある度に検察もマスコミの前に出てきて説明するのは当たり前だし、マスコミも平気で責任を追及する。勿論、その追及に答えられないようでは検事失格なのだから、大きな違いだが…

 勿論、民主主義国家である限り、日本でも検察や警察には主権者である国民に説明する義務がある筈。その国民への説明義務を果たさせ、権力を監視するのが、本来のマスコミの役割だし、その為に「報道の自由」という権利も与えられているのだが、そんな高邁な意識は日本のマスコミにはない。

 かくして日本のマスコミは検察や警察に睨まれないよう、嫌われないように「ヤメ検」をコメンテーターに使ったり、警察特番を放送したり、検察や警察を追及するどころか、日々、彼らの思いを「忖度」しているのだ。

 検察や警察にしてみれば、「記者クラブ」を通じて自分たちにとって都合のいい情報だけを垂れ流すのにとどまらず、それこそ何か意図的な情報をリークすることで容疑者のイメージを悪くしたり、有罪にする為に世論の印象操作をすることも可能。彼らにとっては、マスコミは捜査情報という餌で飼い馴らした犬のようなものなのだろう。

  




                     ※photo by Twitter



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