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二つの「グラフ」~新型コロナウイルスは安倍政権の息の根を止める

「新型コロナウイルス」の感染拡大は一向に止まらないが、それを巡る安倍政権の対応がいよいよ末期的症状を見せている。

  クルーズ船ではずさんな船内隔離で感染爆発を招き、世界中からの批判に負けて乗船客を下船させたものの、陰性として公共交通機関で帰宅させた人の中から次々に感染者が発覚。
検査をしないようにして公表する感染者の数を減らしていた事に不満の声が高まると一転、いきなり全国一斉の「学校休校」を安倍自らが要請。
共働き世帯や関係者への配慮を欠いたことで国民だけではなく自治体の首長やマスコミからも批判が殺到し、慌てて記者会見を開くが、その記者会見が何の根拠も示さず、官僚の書いた原稿をプロンプターで丸読みするだけ。
それどころか記者のやらせの質問に答えただけのわずか38分で終了。またまた批判を浴びる始末………。

   この「新型コロナウイルス」の問題では、ここnoto にずっと「新型コロナウイルスは安倍政権の息の根を止めるのか…」と題して書いてきたが、もはや疑問形である必要もなく安倍政権の息の根は止まりつつあるのは間違いない。

 そんな中、こんな動きが出て来た。

  これは安倍による「学校休校」要請に法的根拠がない事を追及され、その法的根拠となるような「緊急事態宣言」が出来る新しい法律を作りたいと安倍が語ったという話なのだが、上のツイートで書いたように、実際は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」という法律が既にあるのだ。

 条文は上のリンク先で確認してほしいが、この法律は「新型インフルエンザ  対策特別措置法」となっている「等」の部分が重要で、「新型インフルエンザ」の時にしか使えない法律ではない。

『国民の大部分が現在その免疫を獲得していないこと等から、新型インフルエンザ等が全国的かつ急速にまん延し、かつ、これにかかった場合の病状の程度が重篤となるおそれ』がある時に備えた、今回のような新型の感染症全てに使える法律なのだ。

 事実、この法律を使えば、学校の休校やイベンドなどの自粛、企業の休業なども要請できるし、それに伴う損害への補償も定めてある。何より第32条に記してあるように「緊急事態宣言(新型インフルエンザ等緊急事態宣言)」を出すことも可能なのだ。

  ところが、安倍はこの法律の適用を求める野党の要求に対して、『(インフル等措法は)新型インフルエンザや未知の「新感染症」を対象にしたもので、今回の新型肺炎は既知のコロナウイルスの新型による感染症なので適用は難しい』という訳の判らない理由で適用を拒否。当初は、あくまでも新しい法律を作ると言い張っていたのだ。

 これには勿論、安倍が改憲に「緊急事態条項」を盛り込むことを狙っているように、この新型コロナの騒ぎに乗じて、首相の一存で国民の活動や権利を制限出来る、それこそ戒厳令や治安維持法、ナチスの全権委任法のような法律を作りたいという野望があるからだろう。
が、この「インフル特措法」が実は安倍がいつも言う“悪夢の民主党政権”が作ったもの、という点も見逃せない。

 上の記事には詳しく書いてあるが、「インフル特措法」は2009年に世界的に流行した新型鳥インフルエンザへの対応が混乱したことを踏まえて、2012年5月11日に当時の民主党政権が制定したもの。
今回、これを使ってしまえば安倍が“悪夢の民主党政権”と貶す民主党政権の先見の明、功績を立証してしまうことになる訳で絶対に出来ないのも確かだろう。

 因みに、この法律が成立した参議院では、当時の自民党議員は全員採決に欠席したというのだから、安倍が死んでも適用したくないのは当然だし、自民党の国民軽視は筋金入りというしかない。

 ここでもう一つ、この民主党政権が作った「インフル特措法」を巡って興味深いというか、とても重要な点があるのだ。それがこの「グラフ」…

 これはその「インフル特措法」を作った時、当時の民主党政権がこの法律に基づく感染症対策の目的と効果をイメージとしてグラフに表したもの。

 で、もう一つ、「グラフ」がある。

 こちらのグラフは今、この新型コロナの対策として加藤厚労相などが使い、TVや新聞などでもしばしば登場するグラフ。

 よく見比べてほしい。貴方は、この二つの感染症対策のグラフの大きな違いが判るだろうか?

 同じように縦軸を感染者数、横軸を時間経過として作られた、この二つの対策の目的と効果を表したグラフ。
「流行のピーク時の感染者数を抑える」という目的はどちらも同じだが、上にはあった「ピークを遅らせる」という目的が下のグラフでは見事に消えている。

 その結果、「対策あり」の山型が上の民主党政権時では「対策なし」に比べて横軸、時間軸で右に大きくズレていた、つまり、感染の収束が遅くなっていたのに、いま政府が使っている下のグラフでは「対策あり」と「対策なし」では横にズレていない、
そう、今の政府が使うグラフでは何故かほぼ同じ頃に感染が収束する事になってしまっているのだ。

 どちらのグラフが間違いなのかは言うまでもない。今の安倍政権の対策が間違いだし、それこそこのグラフまで改竄しているインチキなのだ。

 その理由、そもそも今回の新型コロナウイルスのような新しいウイルスによる感染症の対策とはどういものなのか、時間を追って説明しよう。

先ずは「水際対策」として国内へのウイルスの侵入防止を試みる訳だが、それが出来ずに国内にウイルスが侵入して感染者が発生した場合には感染者を隔離をしてウイルスの「封じ込め」を図る。
それにも失敗して、次々に感染者が発生。特に、今のように誰から感染したのかも追跡不能の感染者が次々に出てくる状況を「市中感染」というが、こうなると何か対策をして感染を収束させることはもはや不可能。

 こうなった場合に、感染が収束するケースはたった二つしかない。       
一つは、どんどん感染者が増えてそれこそ国民の65%を超えるなど、「集団免疫」が機能するほど感染者が増えたケース。
そもそも今回のような新型のウイルスは誰も今までに感染した事がなく免疫がないのが感染拡大の原因なので、症状の有無に関わらず、大勢が感染して免疫(抗体)が出来れば感染は収束していくということ。

もう一つは、気温や湿気など気候や季節の影響でウイルスそれ自体の感染力が落ちるケース。
例えば、インフルエンザが毎年、冬場に流行しても春や夏になれば感染が収束し、「季節性インフルエンザ」と呼ばれるのもこのケースが当てはまるから。
因みに、この理由は不明だが、今までの湿気や気温のせいではなく、最近では春から強くなる紫外線による殺菌効果と言われているので、今回の新型コロナにも当てはまる可能性はゼロではないのだが。

  いずれにしてもこれらの点、つまり、もはや何か対策をして感染を収束させるのは不可能な点、そして、感染者が増えるか、ウイルスの感染力が落ちるかを期待するしかない点、を理解すれば、今の新型コロナ対策で何をすべきかも自ずと明らかになる筈。

   最も大切なのは、感染者が一気に急増して医療機関のキャパシティを超えてしまい、巷に治療出来ない患者が溢れ、死ななくてもいい人まで死ぬような「医療崩壊」を防ぐこと。

     その為には感染者増加のスピードを緩めて「感染のピーク時の感染者数を抑える」ことが必要不可欠。そういう意味では、「学校休校」も実は感染者増加のスピードを緩める効果は十二分にあると言えるだろう。

   また、同時に治療、特に重症化した患者の治療が出来る医療機関のキャパシティも増やしていく「医療体制の強化」も必要。そして、これにも時間が掛かる以上、時間を稼ぐことも必要。

 何よりそもそも感染の収束そのものを図る対策がなく、多くの人が感染するか、季節や気候が変わってウイルスの感染力が弱くなるまで待つしかない以上、この「時間稼ぎ」こそが実は重要な対策だし、それが民主党政権が作ったグラフにはあった「ピークを遅らせる(感染の収束を遅らせる)の意味なのだ。

 こういう事を踏まえて、上で紹介した民主党政権が作った対策のグラフと今の安倍政権がつくった対策のグラフを改めて見て貰えれば、どちらの対策が正しいのか、どちらのグラフがインチキなのかは一目瞭然の筈。

 そして、そのインチキの理由も判りやすい。
「医療崩壊」を招かない為に「時間稼ぎ」をして「ピークを遅らせる(感染の収束を遅らせる)」などという対策をしていては7月の東京五輪までに感染が収束することは難しいのは当然。
とにかく東京五輪は開催する、その為には医療崩壊をしようが、国民の生命がどうなっても構わない…その安倍政権の意思がよく現れているのが、このグラフなのだ。

 グラフで明らかになったこのインチキな対策や東京五輪の問題だけではなく、前にも書いた「アビガン」の問題、更に安倍が立法化を目指している緊急事態宣言の問題。
そしてマスコミもグルになっているヤラセ記者会見の問題など、今回の新型コロナウイルス、新型肺炎を巡っては安倍政権が抱えるあり得ない本質が次々に明らかになっている。

 この新型コロナウイルスの問題でこそ、私たち国民は安倍政権の息の根を止めるべきなのだ。

 

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