『閃光少女』で駆ける夜

ただ一瞬の光みたいに、強い光を放って消えるのは、案外理想の生き方なのかもしれない。


とはいえ「長生きがいい…」なんて思ってしまうのだが、いつ終わるかなんて分からないのだから、常に最善を尽くしていきたい。




学生の頃はこの曲の疾走感と、歌詞に青春の儚さを重ねて、机に向かう辛い時間を乗りきるために聴いていた。


大人になった今では、過去の未熟さに想いを馳せて(まだまだ未熟だが)、心のなかに閃光を灯してみるなどする。




手軽にスマホで写真が撮れるようになった現代において、『写真機は要らないわ 五感を持ってお出で』という歌詞は奥深く刺さる。

なにか大切なものを忘れていないか? と問いかけられている気がする。




歌詞といい、唄のメロディーラインといい、あまりにまっすぐで純粋な視線を再現していて、聴いているこちらが背筋を伸ばさざるを得ない。


また それは、無垢すぎて、時折ふらつく危うさも持ち合わせている。


しかしながらその生き様は決して間違ってはいない。




サウンドとしては、key. 伊澤一葉さんがエレキギターを、Gt. 浮雲さんがアコースティックギターを弾いている。


いつもはそれぞれキーボードとエレキギターを弾いているのだが、このバージョンもとても好きだ。


伊澤さんなりのエレキギターの音色づくりが好きで、走る彼女の血潮みたいに熱くて雄々しい。


曲のメッセージとしてはロックな感じがするが、走る足元を照らすようなアコースティックギターを合わせたセンスに脱帽する。


ベースは4拍を基本とし疾走感を下支えしているし、さらにうねりがあり、それが「うーむ」と唸る聴き応えになる。


ドラムは、(実際に叩いてみると分かるが)それなりのテンポなのに、ふんだんに用いられたスネアのゴーストノートが、汗を流して息を切らして走っている感を演出する。

クラッシュシンバルが効果的で、曲のスピード感を失うことなく、光っては消える閃光みたいに輝きを放つ。




『閃光少女』にはバージョン違いもあるのだが、印象がかなりかわる。

こちらもぜひ聴いてみてほしい。