コロナのモヤモヤ

迷った末に、ワクチン接種を受けることにした。迷っていたのは昨年からずっと続いているコロナに関するモヤモヤのせいだ。ワクチンに関しても様々な情報が飛び交っていて、本当に安全なのかどうか確信が持てないでいた。僕は元々アレルギー体質で、食品、薬、花粉によって結構重い症状が出ることもあるので副反応が心配だった。

ワクチンを打つかどうか自分で決めなきゃいけない。

今までは、不要不急の外出を控えるとか、手洗いの徹底とか、マスク着用とか、人並みのコロナ対策を続けていればよかった。しかしワクチンに関しては接種するかどうかを自分で決定しなければならない。従来のインフルエンザワクチン等とは異なる仕組みを持ち、短期間で開発・承認にされたコロナワクチン。人体への影響が十分に検証されておらず、安全性に問題があると主張する人もいる。国内でワクチンを接種した人の中で、すでに190人以上の死者が出ているという情報もあるが、厚生省のサイトなどを見ると、安全性に問題はないとされている。しかし昨年からの政府のコロナ対策や情報発信を見てきた僕には、今一つ信用できないでいる。

身近にいる、陰謀論?の人たち。

新型コロナウイルスに関して、誰の、どの情報を信じてよいのだろう?今でも正直言ってわからない。政府やマスメディアによる情報が今ひとつ信用できないので、ネットで信頼できる情報を探そうとすると、今度は、さらに混沌とした情報の氾濫に呑み込まれてしまう。陰謀論というのか、恐ろしげな情報がネット上に飛び交っている。「コロナウィルスは武漢の研究所で生物兵器として開発されていたものが流出した」に始まり、「コロナウイルスは、グローバル企業や製薬会社のでっち上げ」「コロナウイルスはインフルエンザより感染率や死亡率が低い、風邪のようなモノなのに、政府やマスコミが危機感を煽っている」「PCR検査は意味がない・役に立たない」「コロナワクチンは、人間の遺伝子を変えてしまう危険なワクチンで、その安全性が検証されないまま国民全体に接種しようとしている。人体実験だ」などなど。ネット上には、この手の情報があふれている。この手の情報は、米国における「Qアノン」みたいな陰謀論者の根も葉もないデマとして無視するのが正しいのかもしれない。しかし、厄介なのは、この手の情報を拡散している人たちがSNS上での友達だったり、以前一緒に仕事をしたこともある、割と信頼できそうな人だったりすることである。(なぜか元広告代理店の人とかが多い)しかもコロナ以外の発言では、僕の考えと一致する部分もあったりするので、よけいにややこしくなる。例えば「種苗法改正」や「福島原発の汚染水海洋放出」に反対している点など、同じ方向を向いている部分もある。彼らが「この記事を読んでみて、何が正しいか、あなた自身が判断してください」などと言って紹介する記事や投稿は、医師や研究者などの専門家が発信している情報もあり、一概に間違いとは言えないものもあるの。紹介された情報を読んでみると、結構な説得力があって、単なるデマや陰謀論と決め付けられないところもあったりする。しかし、その主張を読んでみて、「そうなんだ!今まで俺は騙されてた!間違ってた!今日からこっち!」という風にはならないのも事実。つまり納得するところまで行かない。だからと言って、僕にはそれを否定するだけの知識や見識が無いので、モヤモヤはいっこうに解消されない。

「極端な意見・過激な発言・大声の主張は信用しない」という考え方。

少し前までは「偏った極端な意見」や「過激な発言」よりも「冷静な声で静かに語られるニュートラルな意見」の方が信用できると思っていた。例えば「ほぼ日」の糸井重里氏の発言など。しかし昨年、コロナ禍をめぐる彼の発言が炎上したように、冷静な声でニュートラルなポジションから語られる主張が必ずしも正しいとは限らないことが多くなってきたような気がする。

逃げてきた人たち。

東日本大震災の時、まだメルトダウンが明らかになっていなかった時、知り合いのITベンチャーの社長が社員ごと東京から関西に避難してきた話を聞いて、「大袈裟だなあ。そこまでしなくてもよかったのでは」と思ったけど、後になってみれば、あの時は本当に東京も危なくて、被害があれ以上拡大しなかったのは、幸運な偶然でしかなかったのだ。あの社長の判断が正しかったことが今では痛いほどわかる。それ以来、僕は、危機に直面した時に「危ない!逃げよう!」と真っ先に極端な行動に走るような人物の発言に耳を傾けるようにしている。では、世の中に警告を発しているとも言える「陰謀論の人たち」の主張はどうなのだろう。コロナ禍は政府や製薬会社やメディアによるでっち上げなのか?コロナワクチンは無謀な人体実験だから避けるべきなのか?最近、ウイルスの起原がやっぱり武漢の研究所からの流出かもしれないという報道も出てきたりしている…。

信用できない気がする。

うまく言葉にできないのだけど、彼ら(陰謀論の人たち)の主張はやっぱり信用できない気がする。彼らの主張の中には事実が含まれているのかもしれないが、その事実を材料にして、自分たちに都合のいいストーリーを創作しているような気がする。それを具体的に一つ一つ例をあげて検証することは僕にはできそうにないが、彼らが拡散している情報をいくつ読んでも納得できたことが一度も無いのだ。

そうなると、僕は、誰のどんな主張を信じればいいのだろう。モヤモヤはいつまで経っても解消しないのか。

結局、自分で判断するしかない。

悩んだ挙句、僕が最近たどり着いた結論は、「自分で判断するしかない」ということ。判断の参考にするのは、自分が信用できると思う人物(学者やコラムニスト、医師、ジャーナリスト、SNSでの友達など)を決め、彼らの意見を参考にして、自分が取るべき方向を決めようと思った。つまり「信用できる情報」ではなく、「信用できる人」を見つけて、その人の意見を参考にして、「最後は自分で判断する」ということ。本当は自分の身近な友人や親族に信頼できる「専門家」がいれば、その人の意見を聞くのが一番だと思うが、僕の周囲にそんな人物はいない。

今年の春先、花粉症その他のアレルギーで年に数回お世話になるお医者さんに「ワクチンは打ったほうがいいですかねえ」と尋ねてみた。「まあなんとも言えないけど、コロナにかかって重症化するリスクを考えたら、ワクチン接種をしたほうがいいかもしれませんねえ」との言葉。その言葉を信じたわけではないが、

結局、ワクチンを打つことにした。

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