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【読書レビュー⑤終】熊代亨「人間はどこまで家畜か」

こんばんは。PisMaです。

今日はレビュー最終回。第5章「これからの生、これからの家畜人」。

今回の章は結構難しく感じたので、ざっくり要約したのち感想メインで書いていけたらと思います。

前回は「真・家畜人」になれない人々についてまとめました。昔の人が想像したユートピアが具現化している現代は、今後どんな進化を遂げていくでしょうか。著者は未来予想図を考える事が大切だといいます。
本書にあげられた未来を挙げると、

未来①暗黒バージョン
・経済停滞が継続した日本
・生身の異性に関心を持つことが時代遅れになる
・子育てがAI頼りになり親からのコミュニケーションがとれなくなる
・喫煙、飲酒、登山、ジャンクフードなどの娯楽に高い税金がかけられる
・安楽死の急速に普及
・「アジアの姥捨山」「世界一安楽死の多い国」

未来②××郷バージョン
・政府の行う健康管理が超強力に
・監視と保護が当然の社会
・一人一人の脳内物質が確認できるようになり、犯罪や自殺が極端に減る
・遺伝子編集が進み、人間は汎用労働ユニットに改造される
・ジャンクフードは伝統芸能に
・これでもかというくらい合理的になった社会では月面での生活も可能になるのでは

ざっくり書くとこんな例たちでした。私が気になったのは、「子供との関わり方が更に悪化する」「性行為を穢らわしいものと捉える視点が一般化する」「ジャンクフードが禁止される」あたりです。このあたりはもう既に始まっているような気もします。
人によってユートピアかディストピアか印象が分かれるイメージですが、作者は考え得る最悪の未来を回避できるよう一人一人が考える必要があると述べます。

功利主義と資本主義が政府の主な傾向の現代において、近い未来で強化されると予想されるのは国民の監視体制や、国民を精密管理する点です。
そして国民に課すハードルはさらに高くなり、より良くより幸せに進歩しているはずなのに、幸せそうな人が誰もいない状態になる危険性を孕んでいます。
文化的な自己家畜化による「人間性を漂白する」ような事象に対しては警戒心を忘れないようにしなくてはならない、家畜化に迎合しすぎてはいけないと警鐘を鳴らす意図が著者の文書から読み取れました。

我々は進歩の恩恵を多分に受けながら、生物として阻害されつつあります。鍵になってくるのは、「動物としての人間を取り戻すこと」。
人間らしさとも言い換えられますが、自分たちが生身の生物で人間である事を忘れず、自然を邪魔だと思う日が来ないようにする。

現代で肩身の狭い思いをしながら日々を過ごす人たちがふっと息を抜ける、楽に生きていける「人にやさしい社会」を作る事が今後の課題になっていくのかもしれません。

ちなみに私の考えるやさしい社会とは、色んな人のゆっくりする時間が増える事です。

「忙殺される」という状況をなくす事。
子育てしているお母さんが安心してゆっくり休める、企業に勤める会社員が罪悪感なくお休みを取れる。
そして、情報が氾濫する現代で目を回す小ヤギさんに小さな小さな楽しみを提供する。

私の活動もひとつのやさしい社会なのかもしれませんね。また違うでしょうか。

今日はここまで。長らくお付き合いいただきありがとうございました。また次回のレビューでお会いできたらと思います。

お相手は黄緑な魔女PisMaでした。
希くば、貴方の灯火に。

おやすみなさい。

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