見出し画像

仕事だいすき人間の夫は、この春教員を辞めました。

タイトルのまんまです。
夫が仕事を辞めました。

わたしの夫は私立の高校教員でした。
主要5教科の担当で、部活の顧問とデジタル関連の導入責任者を任されています。
一昨年はそれに加えて担任も持っていました。

帰りの時間は20時をまわります。
テスト前や学校行事の前、年度末…3ヵ月ごとに、帰宅が22時になる週がやってきます。

土曜日は部活動、その後は学習指導、日曜に行事があれば出勤。
多忙ゆえ振替休を取ることも不可能、法定年休5日間は夏休み期間と冬休み期間で、講習の日を避けて小分けで取得していました。

残業代は、年間で6万円。
これにどう納得すれば良いのでしょうか。

夫はこの高校で働き始めて、満5年になります。
月の手取りは、家賃手当と通勤手当併せた3万を含め22万。
おかしいとは思いませんか。
見合わないとは思いませんか。
やりがい搾取という言葉をご存知ですか。

理事の方、校長、どうお考えなのかと直に問いたいけれど、面と向かって聞くことが怖くてここで吐き出します。ごめんなさい。

気になるのは、お金のことだけではありません。

担任をしていた頃、自傷行為と自殺未遂を繰り返す生徒の親御さんに「教員失格」「なぜ問題行為を辞めさせられないのか」「人としてどうかしている」と詰られ、日に日に表情を失っていく夫を見るのが辛かった。

家庭訪問に行き、個人面談をし、「先生が担任でよかった」とその子から言われても、衝動的に問題行為を起こしてしまうことはあります。
精神科、思春期外来等の専門の先生でも対応が難しいその子のために、夫は日頃から情報収集をして、向き合い方を模索していました。

その子が問題行動を繰り返すたび、無力感を感じていたのは夫も親御さんも同じはずなのに。
「先生だから」「どうにかしてくれるはずだから」と、期待通りにいかない時に罵詈雑言を浴びせるのはあまりにも身勝手です。

保護者の立場に立ったことがある方は、どう思われますか。
「仕方のないことだ」「先生とはそういう仕事だ」とおっしゃいますか。
教師も1人の人間であり、人生があり、誰かの子でありパートナーであり友人であることをご存知ですか。

わたしの大事な夫に、何してくれとんじゃ。
ほんま、自分が逆の立場やったらどない思うか考えてみんかいや。
そらそちらも大変やろうとは思う、余裕がないから当たってしまうんかもわからんけど。
こっちかて人間です。

夫は、よりよく生きられる方法を探して、職を変えました。
何かを教えるという仕事は、大好きだと言っていました。
「わかるようになった」と言われることが嬉しいと。
真剣に勉強に向き合い、部活に向き合う子に教えることは面白く楽しいと。
気力のなかった子が、自分の好きなことに出会って変わっていくのを助けたいと。
でも、それだけじゃやっていけなかった。

今の教員の皆さんはどう感じているんだろう。
このままでは教員はどんどん減っていく。みんな余裕がなくて、つらくて、しんどくて、でも給料は低くて、責任が重大だから。
なりたくてもなれないんじゃない。
なりたいけど、耐えられないんです。

今後の教育現場の先生方の幸せを切に願います。
空気が、流れが、どうか変わりますように。
わたしが親になった時、この立場で学んだことを、ひとつも忘れずにいられますように。

この記事が参加している募集

#この経験に学べ

53,596件

#仕事について話そう

110,232件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?