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王さまの本棚 76冊目

『父の詫び状』

向田邦子作/文春文庫

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化け物本。なんでこんなにこの人の文章ってかっこいいんでしょうって思っています。こういう文体で小説を書きたいとは思わないのですが、こういう文体でエッセイを書けたら気持ちがいいだろうなあと思っています。今がんばって引っ張られないようにしています。求心力すごい。まさに化け物。

とはいえ、向田さんの本はエッセイしか読んだことがないのですよね。小説というか、テレビ作家として有名なのは知っているのですが、なんとなく。エッセイがすごくすごく好きで。学生時代、上記ツイートの授業の直後に大学生協で買った覚えがあります。たぶん、帰りの電車で夢中になって読んだんだろうなあ。

この中に『ごはん』という一節があって、これが、中学のころだと思うんだけど、そして国語ではなくて、なにか副教科だったと思うんだけど、その教科書に載っていて。向田邦子のなかでも、いちばん好きなエッセイです。ごはんを食べる切なさ、はかなさ、渇欲、人間の愚かしさと愛しさが描かれている。
そしてご推察の通り、その時は作者名を気にしていなかったので、大学生になって再会して、おう!あなただったのですか!と、びっくりしたのでした。なつかしい友達に出会ったような。
会えて、良かった。

あと、消しゴムのエッセイと、ライオンのエッセイも好きでした。就活で上京するたびに、山手線に乗りながら、このマンションかしらあのマンションかしら、と思いを馳せておりました。

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