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王さまの本棚 25冊目
『岸辺のヤービ』、『ヤービの深い秋』
梨木香歩作/小沢さかえ画/福音館書店
25、岸辺のヤービ(マッドガイドウォーターシリーズ)
— 安野ニツカ (@nienoedda) July 29, 2020
現代日本児童文学といえばこれ!梨木香歩すごいー!!!むちゃくちゃかわいくて冒険心に溢れていておいしいです。
あと現代日本児童文学で言うと、岡田淳のこそあどの森シリーズも好きです。妹の本なので手元になし。 pic.twitter.com/UUzDG3i8AC
現代の本(いま、日本で、シリーズものとして出版されている途中、という意味)は初めてだ!
前回の「児童文学とは」という話の続きですが、これこそ日本の現代児童文学だと思っています。子どもに向けられた平易かつ格調高い、うつくしい思想。いえ、わたし個人の考え、感じ方なので、議論するつもりも、異についても、反論するつもりが全くないのですが……。
そもそも、『ヤービ』にしても『こそあどの森』にしても、現代日本が舞台というわけではなく、「どこかの欧米っぽい世界」だったり「空想の世界」だったりするので、わたしの考え方こそ偏っていると思った方が自然でしょう。どうすれば頭がやわらかくなるのかわからないけれど。
ほんと、どうしたもんでしょうかね。
それは置いておくとして、この本は、小さくてふしぎな生き物、ヤービ一族がとにかく魅力的。平たく言うと、かんんわわわいいいいいい。
とくにヤービや同世代の子たちの、子どもらしい頑固さや繊細さ、傷つきやすさ、矛盾、そして勇敢さ。そういう大切なものがとてもとても丁寧に描写されています。
それから、もうひとりの主人公である人間のウタドリさんも、おもしろい人物として描かれています。葦の生えた湖にボートを浮かべて、ひとり本を読むことを好む大人です。
こういう物語に出てくる人は大概男性だと思っていたので、女性だと知って、この本がもっと好きになりました。これも定石にのっとった偏見。
悪口を言うと、ムーミン(造形)+だれも知らない小さな国(ストーリー)でしょってわたしの中の悪魔が囁くのですが、それがあってもなお、この本は魅力的です。装丁も丁寧で好き。持っている人は、箱の内側をのぞいてみて。わたし全然気づいていなくて、福音館書店のTwitter見て知ってびっくりしたもの。
はやく続きが出ないかな。児童書をワクワクしながら待てるって、ハリポタ以来。ハリポタはだがしかし云々ウンウン。
少し述べている『こそあどの森シリーズ』も良いのですよ、とくに絵。森の住人の家が、事細かに描写されています。ここに缶詰があって食糧庫。階段を登るとここにペンがあって、書斎。ここが寝室。間取り図ファンとしても楽しめます。たぶん、シリーズのうち3分の1くらいしか読めていないので、こころのなかのの積読です。読みたいー!
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