【トレンド】インドネシア市場の ”いま” （2）～オンライン・オフライン 現代的で保守的な消費者の実態～
インドネシアの小売業を取り巻く環境は、近年目まぐるしい変化を見せています。今回の記事では、消費者の意識と行動がどのように変わってきているのか、最新の消費者調査結果から振り返ってみます。
2019年、インドネシアの大手小売企業のひとつが、事業を再編し売上を最適化するために6店舗を閉店しました。同年には、他の有名小売企業の店舗も閉店しており関係者は状況を注視しています。
インドネシア小売業者協会（APRINDO）の責任者であるロイ・マンディ氏は、こうした変化は購買力低下によるものではなく、購買行動の変化によるものだとします。ショッパーは直近のニーズにより購入するため、ひと月分のまとめ買いといった大きな買い物をする機会が少なくなっており、結果として過去数年間で小規模店舗の成長が加速しています。マンディ氏はショッパーの店舗選択にも注目し「ショッパーは、大規模店舗で駐車場を探したり、店内を歩き回って商品を探すことを避けており、素早く、実用的に、時間を節約した買い物を望んでいることが分かっています」とコメントしています。
「Indonesia ‘Shopper Trends 2019’ Study」レポートでは、小売企業がインドネシアのショッパーの心をつかむには、利便性、特別価格やプロモーションの展開、在庫補充、商品の見つけやすさ、そして、多くの商品を低価格で販売することが重要であることが明らかになっています。
従来のオフラインでの購入に加え、オンラインショッピングが選択肢に加わり、ショッパーにとっての利便性は高まっています。インドネシアのアグス・スパーマント商務大臣はインドネシアの小売企業に対し、eコマースへのシフトによる急速な成長に適応するため、新たな取り組みや開発を継続するよう奨励を続けています。 eコマース市場は、ショッパーのニーズに応える利便性と競争力のある価格を提供しており、こうした側面は向上を続けています。
さまざまなカテゴリーがeコマースの急速な成長に貢献していますが、「Nielsen Indonesia ‘Clicks Shopportunity 2018’ Report」では、ファッション、化粧品、移動手段がトップ3カテゴリーであることが明らかになっています。また、多くのeコマースサイトでは、電気、水道、電話、ケーブルテレビ、さらにはBPJS（政府が提供する健康保険）といった毎月の支払いを行うことができ、「請求書の支払い」も新たなカテゴリーとして成長しています。
eコマースの強みは利便性だけでなく低価格にもあります。今日のオンラインショッピングサイトでは、無料配信と特別割引といった特典がよく見られます。インドネシアでは、特定の日に実施される「HariBelanja Online Nasional（HARBOLNAS、全国オンラインショッピング）」と呼ばれるオンラインショッピングイベントが高い人気を誇っています。若年層や上流層だけでなく一般層もこのイベントに参加するようになっており、ジャワ島以外のショッパーの増加が売上拡大につながっていることが分かっています。
「Nielsen Indonesia Harbolnas 2019」レポートでは、アクティブなインターネットユーザーの10人中6人がこのイベントに参加したことが明らかになりました。参加者数は前年比で9％増加、売上は通常期間と比較して約7倍となっています。
オンラインの利用が劇的に伸びている一方で、忘れてはいけないのがオフラインのチャネルです。このレポートでは、商品の閲覧・購入の際にオムニチャネルの利用が増えているということがわかっています。オンラインとオフラインの双方を使い分ける現代の消費者行動を理解し、マーケティング戦略を検討することが重要になってきています。
Stella Alberta, Consumer Insights, Senior Manager, Nielsen
東山 靖, Consumer Insights, Senior Manager, Nielsen
文中で引用したレポート（英語）のご紹介
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「Indonesia ‘Shopper Trends 2019’ Study」ご案内
インドネシア12の主要都市で3,800のインタビューを実施。ショッパーの最新トレンドが浮き彫りに。
「Nielsen Indonesia ‘Clicks Shopportunity 2018’ Report」ご案内
10以上のカテゴリーを網羅。インドネシアにおけるオムニチャネルショッピングのトレンドを明らかに。
「Nielsen Indonesia Harbolnas 2019」ご案内
インドネシア最大のオンラインショッピングイベント「Harbolnas」の最新動向を解析。51都市で1000名以上が回答。
レポートの詳細ならびに購入に関するお問い合わせは、 ニールセン・カンパニー コンシューマーインサイト 東山 靖
Yasushi.Higashiyama@nielsen.com までお願いいたします。
ニールセン・カンパニー合同会社では、消費者調査、ショッパー調査、販売予測、マーケティングROI分析、コンシューマーニューロサイエンス分析、海外市場情報提供などを行っています。
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