見出し画像

まちづくり自主学校(第二期)第4回立案WS「提案する」

1月17日(火)、第4回立案ワークショップ「提案する」(@市役所2F)を開催しました。

いよいよワークショップの最終回です。
これまでの3回のワークショップを通じて、考え、調べ、吟味してきた課題を、相手に伝わるように、「提案する」にはどうすればよいでしょう。
やればやるほど情報が増えてきました。それをどう整理して発表するか。まずは講師の大島もえさんよりこれまでのワークショップで何をやってきたかのおさらいです。
 
1日目 どんな場面で自分の想い(問題に対する気づき、傷つき)が芽生えたかを出してもらった。この想いはまだ「感情」のままだけど、未来のサービスにつながる大事な卵。
2日目 感情の卵を社会化し、俯瞰するための情報を集めてみた。
3日目 俯瞰すると、問題が大きな視点に広がりすぎて、自分の気づきの原点が薄まることがある。もう一度最初の「想い」に立ち返り、自分が求めるはじめの目標を再点検した。

それをさらに具体的な例で説明します。
 
1日目
問題(想い):コミュニティバスに車いすで乗れず障がい者が使いづらい。
解決策(仮説):バスを大きくする。
2日目
情報収集(社会化):大きいバスにすると、細い道を通れたことで迎えにいけた高齢者の方々にアプローチしづらくなる。
具体策:小さいバスのままにして、車いすユーザーにはタクシー補助を出す。
3日目
社会化を経た具体策の問題点(想いに再度立ち返る):車いすの人はいつも分けられることになる? 交わる場所がないのでは? 
具体策:小さいバスはそのままで、タクシー補助を出す。それに加えて、そこに乗れない車いすユーザーが他の人と交われる場所や機会も別でつくる。

仮説を社会化して具体策を考えるなかで、自分のなかのもやもやの正体がより明らかになってきます。車いすユーザーの人が乗れないことだけが問題だったのではなく、交わる場所がないことにもやもやしていたという新たな気づきを得ることで、バスを大きくすることよりも交わる場所を作るという政策に行きつきます。自分のもやもやの原点に向き合うと、実際に自分にとってどれが大事だったのかということが明確になっていきます。

ここでのポイントはこんなところ。
・多様な人が暮らすなかで、政策は一つだけで正解になることはあまりない。
・いくつかの政策を組み合わせることによって、いろんな人に届けることができる。
・どこに課題があったかという自分の気づき、もやもやの原点を大事にする。

これまでのワークショップでは、自分の想いを棚卸し、仮説、調査の結果、具体策、問題点、提案の形に整理してきました。今日のワークショップでは、これまでのように自分の問題に向き合うというよりは、今まで自分で考えてきたことを他人に伝えるという練習をしてもらいます。
 
まずはA4の紙に、課題に向き合い、考え、調べた要素を、コンパクトに一文でまとめます。この時点では紙は何枚使ってもいい。細かく書き上げるのではなく、大事なことを一文にしていくことが大事です。

紙に書く良さは簡単に入れ替えができること!
書き上げた要素を相手にも自分にもしっくるする形で伝えるために、順番の入れ替えをしながらストーリーを練ります。そうするなかで要点を絞り、グルーピングをし、最終的には8枚の紙芝居にまとめます。

さあ、次はプレゼンの時間です。
プレゼンにあたって意識してもらいたいことも確認します。
 
①自分の発表タイムの話の組み立て方をマスターする。
②場の仮説設定思考をマスターする。
・誰に発表したいか・・・多様な場面がある中で、アポが取れた時に担当課に伝えるのか、身の回りの人と話すのかなど
③発表(伝える)場面、シチュエーションでのコントロール。
・所要時間・・・面談時間は何分あって、その中で、どの流れで話すのか(今回は5分)
・相手に対する自分の立場を決め、相手との前提を共有する(どういう立場で?一個人?肩書?)たとえば、保護者が学校へ伝える際に、「保護者全般としての一般論」なのか、「わが子の保護者」なのか。
・会議で話を遮られたり、上から目線で話されたら、「待ってください、話はまだ終わってません」「私は対等な立場で話すために来ています」とか、自分でも場をコントロールするような形で。
④表現はテキストだけではない。
・服装、声のトーン、語尾、表情、目線、体の向きなど、全部が表現となって相手に伝わる。
 
そして、もえさんからの「渾身の発表をお願いします」という言葉とともに、発表の時間がはじまります。
それぞれの発表をここで紹介できないのは残念ですが、みなさん素晴らしい発表でした。それぞれの提案、解決策にむけて、これから一歩を踏み出されていくのではないかと期待しています! 

最後にもえさんからの総評です。

もやもやや違和感がすべてのスタート地点にあって、それが社会課題に向かう大事な卵。
自分のなかにあるもやもやでネガティブな感情は、そのまま出してしまうと食えないものが多いけれど、お料理したら食べられる。その料理の仕方を4回のワークショップで整理しながら客観視して、今日の形まで持ってきた。
みんなの提案はちっとも食えないものではなく、わくわくするもの。それが解決したら犬山の発展はすごいなと思える魅力的なものだった。
政治はたとえば陳情や請願とか、市民の意見を言える場所がある。あるいは立候補して議員になるということもある。テレビの向こうの国会議員だけが政治だけじゃない。でも、政治はそんなに仰々しいものでなくてよくて、しかも地方政治は私たちの暮らしの土台にある。
政治は、日常のなかでみんなが安心して気づいたことを言えるということがスタート。そのために対等であることが大事。無人島では一人だったら政治はいらないけど、他の人と暮らすために政治がある。身近な人が安心して意見が言える場をみんなが作っていってほしい。

対等に安心して話せる場を作ることがすべての土台にあるという言葉に、ぐっときました。今年のまちづくり自主学校第一弾で開催した、もえさんの「みんなの公民講座」にもつながる話ですね。

そして、地域協働課の方から、「犬山市協働のまちづくり基本条例」についての紹介もありました。
犬山市には、市民、議会、行政の協働によりまちづくりを推進し、誰一人取り残されることなく、笑顔があふれ幸せな生活をおくり続けられる「持続可能なまち」を実現するため、2019年から施行された「犬山市協働のまちづくり基本条例」というものがあります。
 
もやもやや困り事を、行政に提案するというやり方もありますが、この条例にあるように、まちづくりにおいて市民も重要な役割をもっている。社会は行政と市民だけでなく、いろんな構成物が相互に作用しながらできている。そこへのアプローチの方法は市役所に伝えるだけではなくて、自ら行動を起すことだってできる。地域協働課にはそれを支援する場所としての役割があるというお話でした。

市民と行政の協働という話でいうと、この「まちづくり自主学校」もそうした試みの一つです。
NPO法人にこっと「みんなの社会部」が、まちづくりや政治について、「みんなが対等な立場で知恵を寄せ合って考える場」がもっと身近に欲しいという「あったらいいな」の想いからプログラムを考えました。
企画書を作って、地域協働課にプレゼンをして、講師を依頼して、広報をして、参加を募って、ようやく出来上がった場です。

実践的で意味のある学びの場とするために、もえさんとは半年以上前から打ち合わせを何回も重ねてきました。ワークショップの後も、次はどういう展開にした方がよいのだろうか、開発したワークシートはきちんと役立っているだろうか、どういう説明をすると伝わりやすいだろうかといった試行錯誤の連続でした。

至らないところも多かったとは思いますが、ワークショップに参加いただいたみなさまと一緒に考えながら進んできた場は、スタッフにとっても大きな学びの時間となりました。

講師のもえさん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!


「あったらいいな」全4回ワークショップはこれで終了となりますが、今年度のまちづくり自主学校の締めくくりとして、3月には包括的性教育、そしてリプロダクティブヘルス&ライツについての啓発講座を行います。
 
今回の話でもでてきた、他者と対等な関係を結ぶためには、心と体の自己決定が重要です。自分と大切な人の、心と身体を尊重する。他者に支配されない主体性を育み、対等な立場で相手に対し自分の意見を伝え、相手の意見にも耳を傾ける。その原点には、さまざまなジェンダー、セクシュアリティを生きる全ての人が、自分の体を知り、自分を好きになることを大事にし、安心で安全な環境の中で生きるということがあります。
 
講師はスウェーデン留学後、当時日本にはまだ無かったセクシャルヘルスに関する情報や選択肢の必要性を伝える「#なんでないの」プロジェクトをはじめた福田和子さん。
 
日時 3月12日(日)10:00~11:30
場所 オンライン(Zoom)
講師 「#なんでないのプロジェクト」代表 福田和子氏
対象 思春期のこどもから大人まで
定員 先着20人
※当日参加できない人も、申込者に限り後日動画を期間限定で視聴できます。

 午後には「恥ずかしいって何?」のテーマでてつがく対話を行います。
ゲストとしてもえさんにも参加いただきますのでお楽しみに!

お申込みの詳細は、また後日「まちづくり自主学校」NOTE、FB他にてお知らせしますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
みなさまのご参加お待ちしております。

みんなの社会部 
ミナタニ アキ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?