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まるで「プラダを着た悪魔」?? 「ニコ☆プチ」誕生秘話①

前回、S木(エスキー)の週刊誌仕込みの文章が、貫禄ありすぎる!
おじさま的ウイットに富んでいて、ティーン誌育ちの私バーバラ、
面食らっちゃいました! おもしろいよ!
バーバラのキラキラネームとエスキーのシワシワネームの対比に注目してください!
※出版用語の「ネーム」=本文・原稿

2006年に誕生したニコ☆プチ

今回は15年続く、日本初の小学生向けファッション誌「ニコ☆プチ」の
誕生秘話を語りたいと思います。

まずは2006年の重大ニュースを振り返ってみましょう。
ホリエモン逮捕、一次安倍政権発足、悠人さま誕生、イナバウアー……
何この年? 強烈に記憶に残っている出来事ばかり!
そんな中でのニコ☆プチの創刊!!! 
弊社的には大ニュース!?というわけでもなく、
大々的な宣伝もせずに、ひっそりと誕生したのでした。

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先輩からの心無い一言

創刊の頃、中学生No.1ファッション誌「nicola(ニコラ)」編集部に在籍しながら、たった2人、私と当時のニコラ編集長(男性)でニコ☆プチを作っていました。

編集長とコンビで動くということは、当然大方の現場仕事は私がやらなくてはなりません。もちろん、ニコラでも担当ページを持ちながらなので、本当に目まぐるしい忙しさでした。部分的に記憶がありません。

とくにプライベートの記憶がすっぽりと抜け落ちている。
仕事しかしていなかったから?ではなく、ただ単に毎日飲み歩いていたから。それほど、飲まないとやってらんない!ことが多すぎた!
不思議と忙しいほど遊びたくなる。

当時のnicola編集部内では、「ニコ☆プチ」に対して、
複雑な思いを抱く方もいたように記憶しています。
なんというか、心理的距離を置かれるというか、肌で感じる程に。
やっぱり皆それぞれの立場から、不安だったのでしょうか。

今でも強烈に覚えているのは、編集部でニコ☆プチ仕事をしている時に、
「気が散る」と言い放った先輩の一言です。
もはや「ファーストクラス」「プラダを着た悪魔」よろしく、
映画やドラマで描かれるファッションエディターの世界ですよね。
もともと楽観的な性格なので、それほどダメージは受けませんでしたけど、
仕事がしづらいことこの上ないし、地味に傷つく。人には優しくありたい。

ティーン誌が乱立する2000年代

当時、中学生雑誌であるnicolaは、多くの小学生読者も抱えていました。
小学生雑誌が無い中、背伸びしたい子は皆nicolaを読むわけです。
2000年代は、学研の「ピチレモン」、祥伝社の「melon(メロン)」、主婦の友社の「Hana *chu(ハナチュー)」、徳間書店の「ラブベリー」、白泉社の「CANDy(キャンディ)」などティーン誌乱立時代。

群雄割拠を勝ち抜いた猛者nicolaにとって、読者を分割する恐れのある「ニコ☆プチ」創刊は、下手すりゃ自滅、2誌共倒れなんて事態も起こりうる! そう考えると「よくニコ☆プチ創刊企画通ったな」と同時に、「絶対失敗したくない!」という強い気持ちが芽生えてきました。

ライバル誌たちへの想い

この6誌乱立時代が今振り返ると、それぞれ特徴があっておもしろかった!
もともとは歴史のあるピチレモンが一番人気だったところ、よりおしゃれさを増して、モデルに魅力があったnicolaが追い抜いた頃から、ピチレモンに陰りが見え始めました。
姉雑誌の「Lemon(レモン)」を読んで育った私にとって、「打倒ピチレ!」が叶った時は、一抹の寂しさを感じましたね。
melonとHana *chuはギャルっぽい、ラブベリーとCANDyはお姉さんっぽい、飛び抜けた差別化ができなかったことが敗因でしょうか。
都会の子も地方の子もみんなnicola。中の人だった私が言うのも何ですが、圧倒的な勢いでした。あの頃に新人時代を過ごせたのは結果的に良かったとしておこう。

また「ティーン誌」を読まない層が読んでいた、小学館の「小学六年生」など、昔ながらの学年誌もありましたが、「女の子だもん、おしゃれしたい!」という小学生が増える中で、男女を対象にした雑誌は、正直、時代に合わないのではと見ていました。

「学年誌」要素をニコ☆プチに

とはいえ私自身、「小学一年生」から「小学六年生」を親に買い与えられて、毎号楽しみに読んでいたタイプですし、そこから影響を受けたこともたくさんありました。
雑誌としてニコ☆プチが確固たる地位を気づいた時、学年誌のような、子供の好奇心を刺激する教養企画をやってみたい!という思いはずっと抱いていました。

それが、先日ニコ☆プチ公式YouTube「ニコ☆プチTV」で実現したことをご報告いたします。
企業を訪問してお仕事を頑張っている方を取材する「社会科見学」企画を始めました。このようなアカデミックな企画を今後増やしていきたいと思っています。
コロナで外出を控える中、書店に行けない子供達の為に、最近はYouTubeにも力を入れています。親子で楽しめますのでぜひご覧ください。


実務的なところで大変だったことは、一からクライアントを探すことです。
子供ブランドや各種メーカーなど、お会いして行っても、
小学生向けファッション誌を理解してもらうことはなかなか難しく……
これについては広告部がどう開拓していったのかをまたの機会にお話します。

ようやくの創刊

心理的な負担を抱えながら、小学生市場の開拓を少しずつ進めつつ、
創刊号は120ページ、今のニコ☆プチとさほど変わらないボリュームで、
春夏秋冬の季刊でスタートさせました。

nicola創刊時を彷彿させるような、巻頭の草原ロケはモードな印象です。
立ち落としドーンと贅沢な作りは、よりファッション誌であることを意識しています。この系譜を受け継ぎながら、ニコ☆プチは独自に進化していくのです。

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次回は、私と共にニコ☆プチを作ってきた前編集長に「編集長目線からの創刊秘話」をインタビューしてこようと思います! お楽しみに!

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