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カルロス・ポンセに飛び込め!マーケ目線からの新雑誌創刊

クリストファー・ノーラン監督の新作映画『TENET』観てきました、新潮社・広告部S木(エスキー)です。いやもう、脳が震えるくらい面白い! 鑑賞後は明け方まで開設サイトを読み漁っていました。

以前書いたnoteが編集長バーバラより「オヤジ臭い」「年齢が50の文章」「漢字が多い」と言われ……。あぁ、TENETに出てくる「あの機械」で時間を戻したい。

そういえば、週刊誌の記者時代、「お前の原稿は日本語じゃねぇ」と日々、校閲さまから身に余るほどの有難いお言葉を頂戴していました。お陰様で、アンガーマネージメント講座を受講するように。

文は人なり、なんて言葉がありますから、さしずめ「日本語が不得意なオヤジ」がワタシの実像というところでしょうか。……。

(6秒間深呼吸)

さ! 今回はマーケットの面からニコ☆プチ創刊をお話いたします。

ブルーオーシャン(大洋)に飛び込め!

前回バーバラがnoteで書いたようにニコ☆プチは2006年に創刊しました。その際、ニコ☆プチが飛び込んだのが、ブルーオーシャンでした。

みんな大好きブルーオーシャン。
邦訳すると青い大洋。口髭が印象的なカルロス・ポンセ(元横浜大洋の内野手、現YouTuber)の顔が脳内をよぎります。

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釈迦に説法で恐縮ですが、ブルーオーシャンとは、競争者の全くいない新しい市場を意味します。その対義語として、競合企業による激しい争いによる血で赤く染まった市場のことを意味するレッドオーシャンという用語があります。

(広告を始めとするマーケティング業界って、この手の用語好きですよね。カニバリゼーションとかファーストペンギンとかファーストサマーウイカとか。とか。)

存在しない市場を生み出せ!

閑話休題。ニコ☆プチがメインターゲットとしている小学校の中~高学年生は、現在「ジュニア市場」なんて呼ばれています。ですが、今から約20年前にはその市場は存在していませんでした。

中学生向けの「ローティーン市場」は、2000年ごろからバブルが始まり、各アパレルは顧客獲得に、それこそ血で血を争う凄惨な戦いの真っ最中。バーバラが書いたように、この世代に向けた雑誌も多く刊行され、出版社もまた群雄割拠の時代でした。
しかしながら、ローティーン市場の下になると、小学校低学年向けの「キッズ市場」になってしまっていたのです。後の「ジュニア市場」は一部ブランドが百貨店で展開されていた程度で、空白の状態だったそうです。

いやいや、そこには少なく見積もっても100万人以上もの女児がいたというのに!なぜ誰も手を出さない!

数々の奇抜なアイディアでユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させた森岡毅氏は、

コロンブスの卵のようなアイディアは、後で考えてみると「なぜもっと早く思いつかなかったのだろう」と思うような、一見して簡単で何でもないようなことが多いのです。

と著書『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』(角川書店)で語っています。

経営のプロでさえ、こう語るんです。ましてや2005年ごろは、小学生中~高学年に市場はないと思われていました。傍から見れば獲物がいないタダの海。新雑誌刊行の決定権を持つ役員にも他の社員にも獲物(商機)は見えていない。

ここに新雑誌を作って飛び込むのは非常に勇気のいることです。そもそも海かどうかもわからないくらいなのですから。
ですが、今となってわかることですが、そこは手を加えれば豊饒の海で、暫くすれば獲物が集まってくる海だったのです。バーバラを始め一部の編集者は、周りから
「変なものが見えるなんて! 化け物!」
なんて言われていた(はず)。まさに映画『シックス・センス』のハーレイ・ジョエル・オスメント君! 

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(どうしてあの天使みたいな少年が、パンプティ―・ダンプティーみたいなおっさんに……)

新しい市場の「風」を感じろ!

振り返って考えてみると、2005年ごろから「ジュニア市場」誕生への機運は高まっていました。

① ローティーンバブルの拡大により、対象年齢を少し下げた商品が生まれてきた
② 女児小学生が「私たちもお洒落をしたい」という意識を持つようになっていた。
③ 個性を前面に出す世間的な流れ

(※ ②と③の背景には、小学生女児の母親がギャルブームや女子高生ブームを経た女性だったことも看過できない事実です)

そうした「風」をニコ☆プチ創刊メンバーは感じていたのでしょう(たぶん)。ハーレイ・ジョエル・オスメント君がブルースウィルスを見ていたように(しつこい)。

雑誌創刊というドラマは始まったばかり

晴れて2006年秋にニコ☆プチは創刊しました。バーバラも書いたように、次はこのブルーオーシャン市場を醸成する苦労が出てきます。

映画『十戒』でいえば、モーセ(バーバラ)に導かれ、民(ニコ☆プチ)エジプトを出たばかり。「約束の地」カナン(小学生ナンバーワンファッション誌)は遥か彼方。「シナイ山」ならぬ、スポンサー探しという旅があるわけです。

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とはいえ、一歩を踏み出したことで、ありがたいことに一部クライアントさんも足並みを揃えてくれました。こう書くと雑誌創刊とは壮大なドラマなのですね。


ここまでをまとめますと、

「(ジュニア市場の)はじめにニコ☆プチあり」

といったところでしょうか。だいぶ手前味噌で恐縮な話ですが。


「場」を作ってきたニコ☆プチ

もう少し話しますと、ニコ☆プチはただの雑誌ではなく、「場」を提供することに長けています。
雑誌そのものが、ジュニア市場における商品を展開する場として機能しています。また、年に一度行われる「プチ☆コレ」ではそうした商品を着てランウェイを歩く場を提供しています。

他にも、オシャレをした読者を会社に呼ぶ「コーデ選手権」という場もあります。(次回開催は調整中)
ちなみに、プチ☆コレもコーデ選手権もクライアント様への場の提供でもあるのです……。

これ以上話すと、味噌をつけそうなので、今回はこれまで。


あ。ちなみに、ニコ☆プチオフィシャルyoutubeニコ☆プチTVのドラマ「カバーガール」は佳境に入りました。「シックスセンス」並みに面白いので、是非お見逃しなく。



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