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「コロコロ変わる名探偵。」/ショートショートショート

「先生。前回頂いた原稿のイメージと今回とではかなり違うのでこれでは読者が戸惑います。」

「つまり、書き直せと言うのだな。君は。」

「ストレートに言いますと。」

締め切りが迫っている。なんとか先生からちゃんとした原稿をもらわないと困るのだ。それなのに主人公の探偵のキャラが前回とまったく変わってしまっている。これでは話にならないと思ったのだが相手はミステリー界の大御所だ。機嫌を損ねるともっと厄介なことになる。


作家なんてみんなひらめきで書いていると言っていい。小説家だけでなくクリエーターと言われる奴らはたぶんみんなそうだろう。一種の依り代だ。依り代としての能力が大きければ大きいほど非凡な成功者になれる。俺などは自動書記のレベルなのだから、ミステリー界の大御所などと呼ばれるのだ。

ところが最近どうもおかしい。主人公である名探偵のキャラがコロコロと変わってしまう。俺もわかっているのだが自動書記なのだから自分ではどうにもならん。



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