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少子化についての5つの闇

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story-make-paternity-leave-compulsory_jp_5f0534b5c5b6480493c8a866

男性の育休義務化の動き!

これは大変良い傾向ではありつつ、日本の少子化問題はこんな表層的な事では全く解決しない。

1) そもそも同世代に子持ちが居ない

アラフォーキャリア女子の私は、田舎の地元の友達以外は大抵キャリア女子をしていて、殆ど結婚も子供も産んでいない。

唯一産んだ子は、運良く保育園も決まり、すぐに産休あけて職場に戻ると、そこはマタハラの世界だった。因みに、育休やら産休やら推奨してる財閥系の大手だ。

そもそも財閥系なら社員数も多いわけで、子育て世代が数割と考えると、職場に託児所を持ってない事自体が不思議でもある。都心だと、専属の託児所を設けるだけで、有料でも福利厚生の格差がとんでもなく付くので、有能な人材の流出抑制にもなるはずだ。

友人はダメンズ仲間だったので、旦那さんは出産前に入ったばかりの会社を辞めて「独立する」と、そのままニートになり、出産前までたまにやってくれていた家事もめっきりしなくなった。

元々彼女は良いとこのお嬢さんで、モラルも考え方もしっかりしているのだが、選ぶ男性だけは、自己肯定が低いためか、残念な傾向にあった。

2) マタハラ、パワハラ問題

友人は家族の稼ぎ頭だったわけだが、出産後のホルモンが乱れる中、マタハラをバッチリ受けて、退職に追いやられた。このようなケースは度々みるけど、十中八九、女性にマタハラをするのは同じ女性だ。退職やら左遷させるのは男性の上司だが、嫌がらせするのは大体同じ業務に付いている人で、同性である。

私の昔の職場でも同じ事が起こり、NHKにマタハラのインタビューを受けていた人がいた。私は社内で専門職と言う事もあり、孤立してたので事務方でそんな事になっていたとはつゆ知らず、、、

結構マタハラを行う女性というのは、子供を産むのを我慢していたり、産んだ後にストレス溜めながら精神ギリギリでこなしてきた人ではないかと思う。自分達が苦労したり無理して働いてきたのに、我慢した分、制度を利用する人が許せないようだ。

「産休明けの時短?煽りをくらうのは私達。とっとと辞めて貰ってフルで働ける人を入れてくれ」、と本人がいる前で上司へ提言したり、面と向かって「は?また早く帰るの???」「子供いる人は良いわね」など嫌味を言われたりしていたそうだ。最終的には時短出勤してるのに、上司から残業を山ほど出されるようになり、子供の迎えに行くからと断ると、クビ宣告を受けた。

マタハラ・パワハラを知り、外部のユニオンで救済の為に私も参戦したものの、本人だって居辛い職場。それでも長年勤めたし、最後まで復帰を望んだが、折り合いが付かずに、体良く首にされた。ユニオンのおかげでちょっとだけ退職金上乗せにはなったが、長年貢献したリーダー格に対してお粗末な終焉となった。

日本の少子化の闇は深い。

育休も何も、仕事をしてると、多くのケースで子供を持てない環境になる。

3) 少子化と不妊治療の闇

数年前の統計だと、世代ひとつ代わる毎に、ざっくり25%の人口減だった。この数年では更に加速的に減っている。地方ではそこまでないが、仕事で都心に来たら、妊婦に厳しい社会なのは、子供を持たない私にすら良く伝わってくる。

キャリアのために晩婚化が進む中、あわせて出産も高齢化が進んでいる。
40歳過ぎてから結婚も増えてきたものの、40を過ぎると不妊率・流産率が高い。35歳からホルモンが減って行き、40を超えたら加速する。45歳くらいから、5年後の閉経に向けて更年期が始まる。

2016年の統計では、体外受精(おそらく顕微受精なども含む)で産まれてくる子供は18人に1人と言う割合だ。

このような高度な不妊治療は自費で行う必要があり、一回で90-150万円くらいかかる。

最近TVでも取り上げられるけど、大抵の場合理解が乏しく、何故か採卵代だけが伝えられて、一回20-70万くらいと言った説明しか見た事がない。採卵が終われば、受精があり、培養があり、凍結があり、移植がある。それぞれがまた高額だし、更には不妊理由に合わせたオプションや、確率を高くするためのオプションが数万から数十万ずつで無数にある。

治療以前に、不妊理由を探る検査も山のようにオプションがあって、あれこれ調べているとあっという間に検査代だけで100万近く使うことになる。

18人に1人以上がこの高度不妊治療を経て出産してるわけだが、それまでに、ホルモン検査やら注射やらで数日おきにクリニックに向かう。それも生理現象なので予定は立たない。高齢だし、ホルモン剤を投与してると、生理周期や排卵日など、都度1万円近いホルモン検査しないとわからない。アホみたいに金がかかるのに、働きながらでは到底難しい。

助成金制度もあるが、年齢制限があり、開始の時点で39歳までは通算6回、40歳以上の場合は通算3回、43歳以上は対象外である。

微々たる20-30万程度とは言え、大変ありがたいシステムだが、実際必要な43歳以上にはゼロである。しかも、夫婦合算で年収が905万以下という制限付きだ(2019年までは730万以下)。

今は共働きが当たり前とは言え、高額な不妊治療費を捻出出来るのは、おそらくその年収以下だと、何度も受けるのは相当苦しいし、貯金出来てた場合だと思う。歪んだ心の私には、極力出さないようにしている助成金に見えてしまう。

少子化対策が全くと言って良いほど良く見えてこないが、せいぜい不妊治療の助成金の閾値が今年から世代年収が905万に値上がったくらいではないかと思う。

4) 50万人が不妊治療

不妊クリニックに行くと、驚くほど人が溢れている。無事に産まれてくる18人に1人の子供は、この中でうまくいった一部のケースで、10年以上通う人や、一千万以上かけて老後の貯蓄も家もないという高収入家庭の人がゴロゴロいる。

近年では不妊率が男女共にかなり若年化しているので、高齢妊活の問題ではなくなってきた。

相当上手く、自由な時間を自分で調整出来るポジションになっていれば通院が可能だが、人口の何%もいないかもしれない。若い世代にはまず難しいだろう。

それでも国内で50万人程が受診してるのをみると、国民病と言っても過言ではなく、かつ、世界では男性不妊が半数という統計なのに、女性しか通っていないケースがかなり多い。金銭的な問題があり、20代は自然妊娠を何年も頑張るし、受診しない男性を考えると更に多い人が不妊治療を必要としている。

もういっそ少子化の国民病として、不妊治療を保険適応にしたら良いと思う。老人は生きがい支援を充実させて、病院で寂しさを紛らわせるのではなく、社会の一員として貢献出来る仕組みがあると、色々捗りそうである。無駄な通院をやめ、医療費が浮けば、不妊治療費に当てることも現実味を増す。それこそある程度育った子供の学童などで、昔の遊びとか、昔の話などを教えてくれるだけでお互いの為になるはずだ。

5) 仕組みを考え、実行する人は誰?

子育て支援ももっとすべきだが、結婚・出産出来る社会づくりを早く取り組まないといけないはずなのに、ほぼ現状手付かずである。

ご近所に区議会議員に立候補した女性がいて、「住民の皆様の声を聴かせて欲しい」と言われて、少子化対策について言及すると、「あ、それは国ですね」で、終わった。因みに財閥系も沢山ある、住民より会社の方が多い区なのだが、まるで取り合って貰えなかった。

ちょうど友人がこの区でマタハラ退職したばかりで、経歴も本人も優秀なので、知り合いのベンチャーに拾って貰えたが、年収が半分以下になった。家賃が払えず、練馬区の最寄り駅から徒歩20分もかかる場所に引っ越した。乳飲み子を抱えて、産後うつの中働きながら、1人で家を探しだした程ガッツもある。そんな優秀な人材で高額納税してた人が、その区から1人減ってるわけである。国だけの問題なのか私にはわからない。

その方は議員になったけど、元々CAさんで、結婚と同時に退職、子育てに専念して、億ションに住んでいる。子育てする環境が難しいと言う人とは全く違う世界で生きているので、理解出来なくても仕方がないのだろう。

ましてや日本の政治は男社会。しかも高齢。
共働きなど考えられず、日本は裕福で貯金もあると言う世界に住んでいるのだろう。25%減や50%減の世代が何を言っても、少数派として声も届きにくい。破綻するのは自分達が居なくなった後だ。

最後に: 育児支援と同時に取り組んで欲しいもの

男性の育休義務化?
子供がいる家庭にとってはありがたい話なのかも知れない。赤ん坊の成長は早く、毎日違う事が出来るようになる我が子を見守れるのは男女関係なく貴重だと思う。

だがその前に子供を産んで育てられる環境改善をお願いしたい。年金は社会奉仕と思って払ってるけど、先日届いた年金定期便をみると、現在毎月払ってる額の何分の一とかしかでない予定だし、生活出来る額では全くない。少子化は全ての人に影響があり、凄いスピードで進んでいる。しかも対策は全て長期でしか改善されない。

この高齢の過ぎ去りゆくおっさん中心の社会で、何も変わる期待が持てないが、若者たちの期待は更にないのかもしれない。今すぐ取り組む必要だけがある。

子供は国の宝

誰もが住みやすい社会

日本の闇は、まだまだ深い。

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