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エジプト開催で問われた意義 COP27 4日~5日目

人間知らない土地に数日いれば意外に順応するもので、毎日変わらない朝食メニューも、水圧が弱いシャワーも、「Please  Don't Enter」カードを吊るしているのにしっかり清掃してくれる清掃員も、たまにブレーカーが落ちるホテルの電力脆弱性も、すごい生温いビールも「まーいいか」と許せる境地に至る。そんな中で迎えた滞在最終日。

宿泊先はどうみても完全にリゾートホテルです。仕事です。

本記事の執筆時点でCOP27は閉幕している。今回の主要テーマの一つだった発展途上国に対する先進国の支援、いわゆる「ロスダメ(過去に先進国が排出したCO2による気候変動の影響による途上国の損失や被害に対処する取組)」に関して一定の合意を得られたことは大きかったのではないか。

ただ過去にも先進国が途上国のCO2削減を促すため2009年に「官民で年間1,000億㌦の資金を提供することを2020年までに達成し2025年まで維持する」という約束を守れなかった事実もあるそうなので、具体的な実効策を早急に固める必要があるだろう。

エジプト滞在中にThe New York TimesとMorgan Stanleyが主催する「The New York Times Climate Forward Conversations」に参加した。ここでインド、ウガンダ、コロンビアなど途上国の「気候アクティビスト」と名乗る女性5名のパネルディスカッションがあり興味深かったので取り上げておく。

彼女たち曰く、言論の自由が保障されていない母国では、活動自体が「逮捕・拘留」の危険があり、アクティビストを名乗ること自体が大きなリスクであるということ。十分な資金援助がなく、COP27に参加すること自体が非常にハードルが高いこと。それに加えて言語の問題などで十分な情報が得られないことなど、様々な課題について議論されていた。

有名な「活動家」グレタさんの話題も出たが、彼女たちからするとグレタさんの活動は極めて「西欧的」だという。人権が保障され、言論の自由がある国で行われる彼女の行動はどこかリアリティがないということだろう。

考えてもみれば途上国の多くは、気候危機以前から「人権問題」「男女不平等」「内戦による政情不安」など、あらゆる暴力や弾圧に数百年も前から声を上げ続けている。その対象に「気候危機」が加わっただけで、彼女たちの活動の本質は「世代を超えて正義と自由」を勝ち取ることなのである。

今回の出張ではnoteでは公開できない話のほうが多く、現地で得たことのほんの触りしか書くことが出来なかったが、この一連の記事を読んで気候危機に対する「世界と日本」の考え方やアプローチの違いを、少しでも感じてもらえれば嬉しく思う。

気候危機対策は世界のGDPの8割以上を占める「G20」各国や、グローバル企業が協力し合うだけでなく、途上国の人々の声や意思を汲み取り議論に巻き込んでいくことが重要だ。それがアフリカで初めて開催されたCOPの意義であり、我々日本人が先進国の一員として期待されている役割を果たすことが重要と感じたエジプト出張であった。

来年のCOP28はドバイだって!
結局ピラミッドも考古学博物館も行くことはなかった。これで満足。

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