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【感想】★★★「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティー(青木久恵 訳)

評価 ★★★

内容紹介

■その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作! 新訳決定版!

感想

それぞれ様々な名目で兵隊島という世間を賑わせている噂のリゾートに呼び寄せられた10人。物語の前半には10人全員が何らか別々の殺人事件に関わっている事が発表される。
そこから次々と順番に10人が殺されていくのだが、その殺害方法というのか、昔からあると思われる数え歌がモチーフとなっている。このアイデアは今では一般的でもあるが、それにしても物語の関わり方がかなり浅いのが残念。
最後の最後に全ての種明かしがされるのだが、現時点では陳腐であり、雑にも感じる。
ただ非常に読みやすく、展開もかなり早いし、著書の独り善がりのような長ったらしく分かりづらい情景描写や心情描写もないので、その気になれば約380頁を一気読み出来てしまう。それでいて、しっかりと頭の中で作品の世界が思い浮かべる事が出来るのは、クリスティさんの力量だと思う。
★は3つだけど、読んで後悔は無いし、人に強く薦める事はしないけど、強く否定もしないし、この作品があったからこそ、『十角館の殺人』という日本の名ミステリーが生まれたのだと思う。

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