セーラー服を着た

かわいいドレスが何着も用意されたお店。

とっかえひっかえ試着して、私に「どっちの色が良い?」と聞く友達。

どっちも可愛い、けれど水色の方が似合ってるよ。

私は制服コーナーで黒の制服を手に取る。
くるぶしまであるスカートと、紫のラインが入ったセーラー服を持って更衣室に入る。

5年ぶりにセーラー服を着る。
手首にある金具を合わせるとぷちっと音が小さくするのを懐かしく感じる。
スカートを穿くと、やっぱり長いなと思った。

更衣室を出て、大きな鏡の前に立つ。
崩れた前髪を整えて、くるっと後ろを見る。

人生3回あったら1回はスケバンになりたいと思っていた。

友達が私を見つけて「理来、かわいい!!!」とほめてくれる。

嬉しくなって、自撮りもたくさんしちゃって、写真を母に送ると「スケバン刑事って知ってる?」と返ってきた。知ってる。

友達はドレスを試着して、次は制服コーナーに突入する。

水色と緑のスカートを持って「どっちが可愛い?」と聞かれたので、この前遊んだとき履いてたのって水色だったよね?と言うと「あ!忘れてた!」と水色スカートは元の位置に戻される。

私は緑ラインのセーラー服と、ベースが赤のセーラー服を試着する。
ベースが赤で黒ライン、右腕に黒で紋章が入っているのを気に入ったからその姿で友達を待った。

ときどき友達のもとを離れて鏡の前に行き、自分を眺める。

髪の毛を整えてみたりする。

友達はチェックのプリーツスカートと、セットになっているリボンを買った。嬉しそうにする友達を見て私も嬉しくなる。

あのロングスカートと赤ベースのセーラー服、最高に可愛かったなと帰り道のバスに揺られながら思う。

可愛く撮れた自撮りがあったので、例の盛れた写真を見せるとコメントしてくれるサークルの先輩に「スケバンです」と送信する。

もし出来たなら、私はあの格好で高校に通っただろうと考える。

来世はスケバンになりたい。

ちょろい女子大生の川添理来です。