なんでもなかった
なんでもなかった。
もう会うことはないだろうし、連絡もしないしされないと思う。
君からの電話に私は必ず出て、返信もしたし、めんどくさいと思われちゃだめだと君の予定とか気分を優先してた。
「理来は気軽に電話してくれたらいいよ」って言ってたのに。
何か私間違ったのかなって思って、でもこういうのって一回間違えたら次のチャンスとかやり直せることなんてない。
人の気持ちは離れてしまえば戻ってくることはないし、互いの気持ちなんて話したことなんてなかったから尚更。
なんでもなかった、と思いたい。
君にとっても、私にとっても。
そういうことにしたい。
内容がかなり重かった映画も、クッキーに味がなくて笑ったことも、会う約束をしていたのに君が全然起きなくて困ったことも。
じゃあ帰るねと靴ひもを結んでいたら君が私の頬を触ってきたことも、私が他の人と会っているのを知ってて電話をかけてきたことも。
ずるい。
なんでもなかったことにしたい。
思い出して電話してしまいそうになるから、文章にして燃やす。
なんでもなかったことにする。
ちょろい女子大生の川添理来です。