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同窓会

アルバムを遡って見ていると、友達とほんのりと赤くなった頬を寄せて写真に写る私がいた。

小学校からの友達と、黄色、ピンク、赤とそれぞれの着物を見せびらかすように立つ。

3人とも首元に白いふわふわを巻いていて、友達はインナーカラーの金髪が映えている。

「みんな大人になったね!」と言われるけれど、大人になった実感は1年経った今でもあまりわかない。

夜、中学の仲間で集まろうとちょっと可愛いワンピースを来てホテルの会場に行くと、私と喧嘩しまくったあの子がタバコを吸っていた。

興味も何も合わないのに私にすごく優しくしてくれて移動教室の度に私をいつも廊下で待ってくれていた友達は「あ!理来!おひさ!」と変わっていなかった。

「理来にはこっちの高校が合ってると思うんだよな」と呟いた先生に、本当に高校良かったです、大学も楽しいです、と報告するために挨拶に行くと喜んでくれて、先生はあまり変わっていなかった。

ラッパーとして武道館に立つと宣言する男子がいて、意外とうまくてアンコールを求められていた。彼には小学校のとき友達とこっそりプロフィール帳を持ち込んでいるのを先生にチクられたんだった。

声をかけられて、クラスメートとこうだったね、ああだったねと話して、私はお酒が強くないので眠くなってきた。

幼稚園から高校まで一緒で、式のための美容院も一緒で、大学のために上京してきた幼馴染は相変わらずみんなにいじられていた。

もうお開きかとなってホテルのロビーでこれからどうしようかと友達と町の数少ない居酒屋の名前を挙げて悩んでいたら、「理来じゃん」と声をかけられて振り向くと、付き合いそうで付き合わなかった人がいた。

最近どうよ、と聞かれて最近どうなのと聞いたら「単位がやばいね」と返ってきてやっぱりなあと思った。

二人で写真を撮ろうと言われて緊張した挙句断ってしまって、理来のそういうところで進まなかったんだよと後から親友に指摘され、そうだなあと反省した。

親友とは高校から遠く離れてしまったから3人で居酒屋でひたすらくだらない話をするなんてしたことがなくて、時間が流れるのがとても早かった。

最近グループチャットで「今年もまたみんなで集まりませんか」と連絡が来ていたけれどあまり参加する人はいなさそうだった。

大学生や社会人になると昔のことは少しづつ後回しになって、今のほうが大事に思えて、昔の友達と会っても何を話して良いのかはわからなくなるんだなと思う。


ちょろい女子大生の川添理来です。