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夜の電車

遠くにはマンションがあって、小さい灯がぽつぽつしている。

駅に近づくと眩しい看板が増えて、駅を出発するとまた向こうに目をのばす。ラジオを聞いて、リュックを前にして、左手はつり革を掴む。

窓に自分が映る。

隣の人を窓越しに見てみる。

もう一回自分を見るけれど、特に何も思い浮かばない。

外の向こうにマンションの灯が見えると、あの中で今はご飯食べたり誰かとお話してたりする人がいるんだろうなと考える。


テレビで見たことがある。
夜、東京の街を電車が走っていくのを遠くから撮った映像。

マンションや家の灯が小さく見える暗闇の中を、何十という四角い窓から光を漏らした電車が真っすぐに通っていく。

ただそれだけ。

きれいだと思う。
あの映像と同じように、自分が乗っている電車を遠くから想像してみる。私もあの中のひとつになっているんだと思った。




ちょろい女子大生の川添理来です。